今後を見据えると注目されるeSIMとDSDS

 新iPhone3機種は全て、機械学習などのAI(人工知能)関連処理を高速化する「ニューラルエンジン」を2つ備えた新しいチップセットに「A12 Bionic」を搭載しており、プレゼンテーションではゲームや映像、AR(拡張現実)などの高度なアプリがスムーズに動作することをアピールしていた。だがこの方向性はアプリの可能性を広げるものではあるが、ハードウエア的に見ればiPhone Xが搭載している「A11 Bionic」が順当に進化しただけのことだ。

新チップセット「A12 Bionic」を搭載したが、それはiPhone Xからの順当な進化にすぎない
新チップセット「A12 Bionic」を搭載したが、それはiPhone Xからの順当な進化にすぎない
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 iPhone XS/XS Maxのカメラ自体のスペックはiPhone Xと同等であり、劇的に機能が向上したわけではない。ラインアップの強化という側面を除くと、今回の新機種はハードウエア面での話題性には乏しい。

 唯一、iPhone Xから大きく進化したと言えるのが、デュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)に対応したことだ。しかも一方のSIMは物理的なSIMカードではなく、遠隔操作で契約情報などを書き換えられる、組み込み型の「eSIM」であることだろう。アップルはeSIMの採用に積極的で、既にiPadやApple Watchの一部モデルにはeSIMが搭載されている。それがiPhoneに、しかもDSDSという形で搭載されたことには非常に大きな意味がある。

 自社以外の回線を利用される可能性が高まるDSDSは、大手キャリア(電気通信事業者)にとって、端末に採用してほしくない技術の1つだ。1つ目のSIMにキャリアのSIM、もう1つのSIMに安価なMVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMを用いてデータ通信料を安く抑えるiPhoneユーザーが増えるのは間違いない。そうなると、iPhoneの「もう1つのSIM」をめぐって新たな競争が生まれる可能性も考えられる。

 もっとも新iPhoneの発売段階では、日本の大手キャリアはiPhoneのeSIMに対応しておらず、MVNOの対応もこれから。実際に競争が起こるのは先のことになるだろうが、iPhoneのDSDSは今後、国内でも注目の的になるのは確実だ。