新規参入の楽天とはエコシステムの戦いに

 今年注目された出来事として、楽天が通信事業者として、携帯電話市場への参入を発表したことも記憶に新しい。吉澤氏は楽天の参入について、「強固な顧客基盤を持ち、電子商取引やポイントプログラムなど多くのサービスを持っている。その中に自分たちがコントロールできるモバイルネットワークをピースとして入れ込めば、サービスとネットワークを融合したエコシステム(ビジネス生態系)を構築できるということではないか」と分析している。

 回線契約者を顧客基盤としてきたNTTドコモは、そこから各種サービスを展開するという楽天とは逆のアプローチを採ってきたわけだが、最終的にはエコシステムでの競争になると吉澤氏はみているようだ。ドコモは顧客基盤をdポイントクラブ会員へと移し、エコシステムの拡大にかじを切っただけに、「(楽天は)脅威であり、われわれも顧客基盤やサービスを強化していかないといけない」としている。

 ただし、これからネットワークを整備していく楽天よりも、既存のネットワークを持つ大手通信事業者のほうが優位にあるのは事実。吉澤氏はネットワークは品質が重要と認識しており、「災害への対処も顧客に対するポイントになる。信頼性の確保が重要だ」と話している。

 もう1つ気になるのが、楽天がドコモの回線を借り受けて事業を展開しているMVNO「楽天モバイル」との関係だ。楽天は、3年後もMVNOとしてのサービスを提供することを明言している。この点について吉澤氏は「自前でネットワークを運営する一方で、足りない部分をMVNOでカバーするのはおかしい。そこはMVNOとしての楽天とどう協議するかになる」と懸念を示していた。

2019年より携帯電話事業への参入を表明した楽天だが、最低利用期間が最大で3年の「スーパーホーダイ」を提供していることもあり、3年後もMVNOとしてのサービスを継続するとしている。写真は2018年6月14日の「楽天モバイル」夏商戦記者発表会より
2019年より携帯電話事業への参入を表明した楽天だが、最低利用期間が最大で3年の「スーパーホーダイ」を提供していることもあり、3年後もMVNOとしてのサービスを継続するとしている。写真は2018年6月14日の「楽天モバイル」夏商戦記者発表会より
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 最後にもう1つ、2020年に商用サービスの開始が予定されている5Gに関しても動きが相次いでいる。今年6月には5Gの通信方式「5G NR(New Radio)」の標準化が完了しており、ドコモも5G時代に向けたさまざまな取り組みを推し進めている。

 5Gに関して吉澤氏は、商用サービス開始に先駆けて「2019年に試験的な形で5Gを用いた何らかのサービス提供をやってみたい」と話した。場としては「ラグビーのW杯を検討している」とのことなので、来年日本で開催されるラグビーW杯では、5Gならではの新しい取り組みを目にすることができるかもしれない。