d払い導入のハードルは決済手数料

 d払いが、キャリア決済を中心に据えている点からは、クレジットカードを使っていない人たちに、より利用しやすい決済手段を提供することで決済事業を強化したいというNTTドコモの思惑が見えてくる。とはいえ、そのサービス内容を見ると、導入する店舗側と利用する消費者側それぞれに課題があり、中国のように爆発的に普及するとは考えにくいというのが正直なところだ。

 店舗側の課題は決済手数料だ。d払いはクレジットカードと同様、たとえ少額の決済でもあっても一定の手数料が課される。ドコモはあくまで決済手数料をビジネスの中心に据えるとしているのだ。しかし、実は支付宝や微信支付は、一定額を超える決済には手数料がかかるものの、少額決済の手数料は基本的に無料。決済手数料がかからないことこそが、中小の店舗にまでバーコード決済を普及させた大きな要因なのだ。

 d払いの導入を予定している企業の1つ、コンビニエンスストア大手ローソンの執行役員 マーケティング本部長である野辺一也氏は、「現金決済ではレジ通過に時間がかかるために行列ができる。その行列を見て購入を諦める人が出れば機会損失につながる。また紙幣を硬貨に両替する作業はオーナーの負担になるし、防犯上リスクもあるなどデメリットが多い」と話し、決済手数料がかかってもなお、キャッシュレス化を進めるメリットは大きいとしている。

 一方、売り上げを最大化したい個人経営の小規模店舗などは、決済手数料を嫌ってクレジットカードや電子マネーの導入を控える傾向がある。専用のPOSレジに代わってタブレットを導入するなど、「d払い」に対応するハード面の環境整備は進められているようだが、ドコモには決済手数料を上回るメリットを生み出せるというd払いの実績づくりが強く求められることになるだろう。

中小規模の店舗でも導入しやすいよう、タブレットで「d払い」に対応する仕組みの構築には力を入れているが、少額決済でも手数料を取ることが導入のハードルとなる可能性は高い。写真は1月17日のNTTドコモ”新決済サービス”記者説明会より
中小規模の店舗でも導入しやすいよう、タブレットで「d払い」に対応する仕組みの構築には力を入れているが、少額決済でも手数料を取ることが導入のハードルとなる可能性は高い。写真は1月17日のNTTドコモ”新決済サービス”記者説明会より
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 消費者側の課題とは、そもそも提供されている決済手段が多すぎることだ。先に触れた通り、ドコモだけでも大きく分けてFeliCa、クレジットカード、そしてバーコードと3つの決済手段が存在している。他社のサービスも含めるとさらに決済手段が増えるわけで、消費者側がそれらすべてを把握し、使い分けるのは至難の業だろう。選択肢が多いことはメリットである半面、複雑な印象を与え、消費者が「面倒だから現金でいいや」と判断してしまう可能性もある。

 この点について、ドコモのスマートライフビジネス本部 執行役員 プラットフォーム推進部長である前田義晃氏は「(消費者が)混乱しないよう、顧客とコミュニケーションを図る必要がある。顧客の多様性をうまく吸収できるラインアップをそろえていきたい」と答えている。「d払い」は主としてクレジットカードを利用していないユーザーを対象にした決済サービスという位置付けだが、そうしたメッセージをうまく消費者に伝えられなければ、いたずらに混乱を招くことになりかねない。それだけに、新サービスの訴求についても慎重さが求められることになりそうだ。