大腸の奥まで届くレジスタントスターチに注目
――オーストラリア産の「バーリーマックス」など、新しいタイプの大麦も出てきました。
青江: 同じ白米のでんぷんでも、生米や冷えたごはんのでんぷんは消化されにくい形になっています。これをレジスタントスターチと呼びます。バーリーマックスという大麦は加熱調理した後でも、このレジスタントスターチが多いのです。
レジスタントスターチは水に溶けないにもかかわらず腸内細菌のエサになるという他の不溶性食物繊維とは異なる性質を持っています。レジスタントスターチはゆっくりとエサに利用されるため食べ尽くされずに、腸の上のほうにいる菌もエサにするβ‐グルカン以上に腸の奥まで届くのです。
――日本では大腸がんが急増しているが、その原因は食生活の欧米化によって脂肪の摂取量が増えたためといわれています。
青江: 脂肪をとりすぎると、吸収するために胆のうから腸に胆汁酸が大量に分泌され、大腸まで達した胆汁酸が悪玉菌の作用によってできる物質が大腸がんのリスクを高めます。β‐グルカンやレジスタントスターチは大腸に入り込んだ胆汁酸を体外に排出してくれます。大腸がんは直腸やS状結腸など大腸の奥のほうで発生することが多く、その意味でも、腸の奥まで届いてブロックするレジスタントスターチの意義は大きいのです。
――血糖値の上昇を抑え、内臓脂肪を減らし、腸内環境を整えてくれるという三拍子そろった機能性を持つ大麦は、まさに現代人にうってつけの食材ですね。
青江: 食べない手はないですよ。ゆでてサラダ感覚で食べるのもいいのですが、大量にとろうと思うなら、主食にできる麦ごはんがいいと思います。5対5の麦ごはんに抵抗がある人は、とりあえず白米7対大麦3くらいから始めてみるといいと思います。
(構成/伊藤和弘、写真/中村宏)