VRはコミュニケーションに結び付いて広がる

――ゲームの分野では大きな注目を集めているVRですが、ゲーム以外の分野ではどのように広がっていくと考えていますか?

玉置氏:  VRが普及するポイントは2つあると考えています。1つはサマーレッスンのように、自分だけの空間に没入できる、娯楽により寄せた形で広がること。そしてもう1つは実用用途での広がり、特に人間同士のコミュニケーションで活用されることです。

 最近では電話だけでなく、ビデオチャットなどの利用も進んでいますが、それでもどこかのタイミングで、現実で直接会うことが求められる。そうなってしまうのには、現在のコミュニケーションツールでは、何らかの必要な情報が欠落しているからではないかと思うのです。ですがサマーレッスンを見ても分かる通り、VRではより情報量が多いコミュニケーションを実現できます。現実に会うことの物理的コストを埋めてくれる可能性があるのではないかと感じています。

 コミュニケーション用途としてVRが広がれば、その上でゲームなどのさまざまなコンテンツが利用され、VRのコンテンツ市場が一層拡大することも考えられます。当初は娯楽と実用とで並列的に広がると思いますが、将来的には今のスマートフォンのように、実用としてVRデバイスが広がり、その上に娯楽が載っていく形になるのではないでしょうか。

――実際にVR用のゲームを手掛けた立場として、VRが普及する上で克服すべき課題はどこにあると感じていますか?

玉置氏: ソフト面で最も分かりやすいのは“酔い”の問題ですね。VRで酔いを起こさないためには、画面の描画速度を上げる必要がありますが、そのためには、描画するモノを減らして速度を上げるしかありません。ですがVRはモノを増やして情報量を多くしなければ、そこにいるかのような体験を作り出せないんですね。この相反する要素をいかに両立するかが、最も大きな課題です。

 もう1つ、インターフェースが確立されていないのも課題です。VRでは奥行きや距離があるので、通常のゲームと同じインターフェースでは邪魔になってしまいます。VRならではのインターフェースを確立することも求められますね。

バンダイナムコエンターテインメント玉置氏に聞く、「サマーレッスン」から見えるVRの未来像(画像)
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 ハード面でいうと、やはり頭に機械をつけること自体歴史上あまりないことなので、現在のVRデバイスがそのままの形で 日常生活の中で受け入れられるには、相当な時間がかかると思います。ですので、広く普及するためには、コンタクトレンズくらいのサイズ感を実現する必要があるんじゃないかと考えています。

(文/佐野正弘、写真/郡谷謙二)

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