C CHANNELを立ち上げ、新たなチャレンジを続ける森川氏。LINEを手掛けていた頃から、独特の経営スタイルで変化の激しいインターネット業界で成功を収めてきた。その森川氏が、C CHANNELでどのようなイノベーションを起こそうとしているのだろうか。

既成概念を破壊する森川氏の会社経営スタイルとは

 C Channelの森川亮氏は、日本テレビからソニーに転職し、2003年に現在のLINEの前身となるハンゲームジャパンに入社。パソコン向けのオンラインゲームで大きな成果を残し、2007年には同社の社長に就任した。

 その森川氏が大きな注目を集めたきっかけとなるのは、やはりコミュニケーションアプリ「LINE」を成功に導いたことであろう。多数のメッセンジャーアプリが激しい競争を繰り広げる中、LINEは国内で事実上標準の地位を獲得。さらにその後はゲームや生活サービスなどのプラットフォーム展開を図ることで、生活に欠かせない存在となっていった。

 もう1つ、森川氏がLINEで残した大きな実績は海外展開だ。「日本のインターネットサービスは海外に受け入れられにくい」と言われる中、LINEは日本だけでなく台湾やタイ、インドネシアなど、アジアを中心として多くの国で人気を獲得。世界的に利用されるサービスへと成長させたのである。

 こうしてLINEで多くの実績を残してきた森川氏は、今年「C CHANNEL」を立ち上げ、新しい動画メディアの形を確立するべくチャレンジを続けている。森川氏が新しいチャレンジを続け、革新的な成果を残し続けている理由は、どこにあるのだろうか。その運営スタイルに迫ってみよう。

――C Channelではのような取り組みに力を入れていますか?

森川氏: 実は会社だったり、仕組みだったりというのはどうでもいいかなと思っています。最も大事なことは、やるべきことができる環境と人なので、そこに集中するようにしていますね。一般的なビジネスのあり方にとらわれてしまうと、これまでと同じことを繰り返してしまいますから。既成概念を壊してやるべきことに集中しています。

――既成概念を壊すとなると、反発を受けることも多いのではないでしょうか。

森川氏: 最初から一般的な社長のイメージとは違うことをしていれば、従来の会社とまったく違うものだと思ってくれるのではないでしょうか。社員がC Channelに参加する段階で、この会社は既存の会社と全く違うものだと感じてくれると思うので、そう思ってもらった方がやりやすいですね。

C Channel 社長 <br>森川亮(もりかわ・あきら)氏
C Channel 社長
森川亮(もりかわ・あきら)氏
1989年筑波大学卒、日本テレビ放送網入社。1999年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程を修了しMBA取得。その後ソニーに入社。2003年、ハンゲームジャパンに入社、取締役を経て、2006年10月、取締役副社長に就任。2007年10月、NHN Japan(ハンゲームジャパンより商号変更)社長に就任。同年11月、ネイバージャパン設立に伴い、ネイバージャパン社長を兼務。2013年4月、NHN Japanの商号変更により、LINE社長に就任。2015年3月、同社社長を退任。同年4月、C Channel社長に就任
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優秀な人材が集まってくる理由

――従来と比べ、会社の経営スタイルは変化していますか?

森川氏: 似ている部分もあるとは思いますが、重視しているのはルールや管理をなくして仕事に集中できる環境を作ることですね。C Channelには会議もレポートもありませんし、朝に必ず出勤しなくてはいけない訳でもない。その代わり、仕事で結果を出してもらうことを重視しており、結果以外にはこだわらないようにしています。

――会議もしないとのことですが、社員同士の情報交換に不安を抱くことはないのでしょうか。

森川氏: 会議をしないのは、会社に来る人が仕事だと思っていることが多いからです。会議して愚痴を言いあって終わりという人をなくすことが、大きな目的ですね。

 それよりも、いかにアウトプットを出す仕事ができるかが重要です。結果志向で、自分で考え行動するためのきっかけを作らなくてはいけませんし、会議をするとそのきっかけが作りにくくなると感じています。

――C Channelには、元日本テレビの三枝孝臣氏や、「GLAMOROUS」など多くの女性誌を手掛けた軍地彩弓氏などが参画しています。優秀な人材がそろってくる理由はどこにあるのでしょう?

森川氏: 優秀な人かどうかは、当たり前のことをできるかどうかです。色々な会社を経験した中で、一番まずいと感じたのは、解決するべき課題ではないことに時間を費やしてしまうこと。本来課題を解決しなければいけないのに、それをなぜやらないのかが曖昧なまま、どうでもいい仕事が増えていく会社が意外と多いのです。

 優秀な人ほどそうした課題と日々向き合っていますから、そうした人材が集まるには、課題を明確にすることが重要じゃないかと思っています。C CHANNELの場合ですと、日本の課題がいくつかあって、その課題を解決するために全力で取り組んでおり、共感するなら一緒にやりましょうと。それだけのことなんです。

C Channelの森川亮氏が実践する、イノベーションを起こす会社経営とは(画像)
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社員が結果を出すための環境作りを重視

――現在、C CHANNELはどれくらいの規模で運営しているのでしょう?

森川氏:全体で16人ですね。あまり人を増やすと、人同士が線引きて気を使いあってしまいますし、“情報交換”“検討”などの名目で無駄な仕事を増やそうとする人がでてきますから、そこは注意しないといけないと思っています。

早朝のC Channel社内。とてもシンプルで黄色の椅子や柱が印象的。席は特に決まっていないという
早朝のC Channel社内。とてもシンプルで黄色の椅子や柱が印象的。席は特に決まっていないという
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 実はC Channelには部署も役職も置いていません。マネージャーがいるとそこに頼ってしまう人が増えて成長につながらなくなりますし、そもそもマネージャー自身の負担が大きくなってしまうのが問題です。全員がフラットな立場に置かれれば、結果に個人差が出てきます。できない人はそのことに向かい合う必要がある。それが個々の成長へとつながっていくのではないでしょうか。

――個々の社員が結果を出すためにどのような取り組みをしていますか?

森川氏:結果を出すには個々が考えるしかないと思いますが、いくら頑張っても結果が出ない場合はどこかに問題がある。仕事の結果さえ見ていれば、結果が出ていなければ何か問題あることがすぐ分かりますから、結果を出すためにはどうしたらいいか、自分で考えられるようやり方を変えることを促すようにしています。

 例えば疲れてしまう人の特徴は、仕事を全部抱え込んでしまうことです。余計なことを抱えすぎないよう、無駄なものを捨てさせることが重要になります。仕事を減らすのには勇気がいるかもしれませんが、結果が出ないよりは、仕事を減らして1つでも結果を出してもらった方がいいのです。

――では、マネージャーが担当するような業務はどうしているのでしょう?

森川氏:現状、そうした業務は僕がやっていますね。こうした取り組みの中から、自主的に何かをやりたい人が手を上げて、リーダーが自然と生まれてくると思っています。

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(文/佐野正弘、写真/武田光司)

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