いま、ゲームや映像などの分野で大きな話題となっているVR(仮想現実)。中でも大きな注目を集めているのが、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が開発しているVRシステム「PlayStation VR」だ。なぜSCEはPlayStation VRの開発に至ったのか。そしてPlayStation VRで、何を目指そうとしているのだろうか。
PlayStation VRの開発はPS4と同時進行だった
近頃、VRが大きな注目を集めている。その大きな要因となっているのが、あたかも仮想世界に入り込んだかのような没入感と臨場感を与えてくれる、VR専用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)の登場だ。
そのHMDを主体としたVRシステムの中で、いま最も注目されているのが、SCEが2016年の発売を予定している「PlayStation VR」である。これはPlayStation 4(PS4)に、加速度センサーやジャイロセンサーなどを搭載した専用のHMDを接続し、さらに動きなどを検知できる「PlayStation Camera」を用いることで、360度のリアルな3D映像を体感できるというものだ。
PlayStation VRが最初に披露されたのは2014年で、当初は「Project Morpheus」という名称であった。発表当時から既に「Oculus Rift」などのVRシステムは存在していたものの、PlayStation VRはコンソールゲーム機と連動した初のVRシステムであったことから、ゲームファンを中心として大きな関心と話題を集めている。今年9月に開催された東京ゲームショウでは、試遊するための整理券が会場後15分で配布終了してしまったことからも、その注目度の高さを見て取ることができるのではないだろうか。
しかしなぜ、SCEは今、このタイミングでVRを提供するに至ったのだろうか。そして、VRでどのようなゲーム、どのような映像表現が実現すると考えているのだろうか。SCEのワールドワイド・スタジオ プレジデントである吉田修平氏に話を聞いた。