製品作りの“原点”に立ち返る

――パナソニックはそもそも、ユーザーの声を日頃から聞いて製品作りに反映しているのではないかと思います。そこでさらにシニア世代の意見を聞き、その意見を徹底的に反映して機能を絞り込んだ製品をつくるという発想の源泉はどこにあったのでしょうか。

「Jコンセプト」は“シニア家電”の道しるべになるか?~パナソニック 古長亮二氏(画像)
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古長氏: 高齢化が進む中で大きなニーズや市場があるという考えの中で、そこにアプローチしようというのがスタートです。その背景の一つとして、パナソニックが苦しい時期を迎えていたということが挙げられます。

 海外メーカーなどが多数国内に入ってきて、日本のお客様のニーズに合ってきており、当社はシェアを含めて苦しい時代でした。我々としてはお客様の声を聞いていたつもりでしたが、結局は競合他社を見ていたり、“家電村”の中でだけ満足していたのではないかという反省のなかから、原点に戻って市場の声を聞いていこうと考えたのです。

――実際にどのようにニーズを調査したのですか?

古長氏: 皆さんに自慢できるようなものはなくて……。詳しくはTRENDY EXPOのセッションでお話をできればと思います。

――「日本の美意識」も大きなテーマとして掲げられていますね。

古長氏: そうです。「日本」への思いを込めることにして、日本の美、和柄などをしっかり取り入れようと考えました。

 50-60代の「目利き」世代をターゲットにしようという思いと、日本市場のお客様の暮らしに本当に役に立ちたいという思いのどちらが先というより、両方が結びついたのが「Jコンセプト」という形になったのではないかと思います。

――紙パック式掃除機には軽さと強度を追求するうえで「綾織」を採用し、炊飯器やオーブンレンジ、冷蔵庫にはデザインとして「豊穣柄」を採用しています。こうしたディテールまで追求しつつ、シンプルなデザインも受け入れられているようですね。

古長氏: もちろんそこで慢心してはダメなのですが、開発メンバーのみんながホッとしたと思います。日本市場の中でパナソニックがまだ必要とされているところがあると、みんなの中で再認識できたのは大きな収穫でした。

 今回の「Jコンセプト」シリーズのデビューにあたって、最大のポイントは「ターゲット感」をどう表現するかということでした。最初は「シニア世代」としていましたが、外部の声を聞く中で最終的に「目利き世代」と改めました。

 「目利き世代」とはシニア世代をもう少しセグメントした言葉かと思いますが、いろいろな経験を経てものを見る目を持ち、自分の好みを知っている方々ということでアプローチすることにしました。

――「目利き世代」というのは、要するに「違いのわかる大人」といった感じですね?

古長氏: まさに、コーヒーのテレビCMの話も出ながら、「ああいうことなんだよね」といった議論をしました。

 当時は目利きでいいかな、お客様に伝わるかなという不安はありましたが、最近の調査ではJコンセプトのロゴ認知も16%ぐらいまで上がってきました。Jコンセプトのどういったところを認知しているのかという調査でも「50代、60代の目利き世代向け」というターゲット感が上位に来ていたので、少しずつ確実に浸透してきているのではないかと思っています。

「Jコンセプト」は“シニア家電”の道しるべになるか?~パナソニック 古長亮二氏(画像)
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(構成/安蔵靖志、写真/中村宏)

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