地域でなく、まずは人から

――地方産品を「売れるようにする」秘訣は何でしょう。

江副: 地方創生といって、地域の製品を売れるようにしよう、そして雇用を生み出そう、そういう活動は各地でたくさん展開されています。ここで一番気を付けたいのは、一度にすべてを解決しようとしないことです。地域全体を活性化し、商品を売れるようにするとなると、多くの企業が関わることになります。なにかプランを考えて実行しようとしても、全員に理解してもらい、動いてもらわなくてはなりません。そのために時間がかかってしまう。これが、地域活性化が失敗する最大の要因だと思っています。

 私の場合、「売れそうな商品」を見つけ出すことから始めています。商品自体には特徴があるのだけれど、それを売る仕組みができていない、デザインなど買ってもらうための準備ができていない。こういう商品を持っている企業を見つけ、その経営者とじっくり話し合うのです。

――どのようなことを話し合うのでしょう

江副: 売れる商品を生み出すには、先ほど挙げたように「商品」「情報」「空間デザイン」という3つの要素を考える必要があります。商品がどのような特徴があるのかを調べ、理解します。その結果、何を特徴として売り出せばいいか、つまり情報発信のネタは何なのかを考え、それを世の中に広めて、買ってもらうようにするにはどういうシナリオ、空間のデザインを作ればいいか作戦を立てるというわけです。私は、出会った地方企業の経営者とまず、商品がどのような特徴を持っていて、どう情報発信すればいいのか考えることから始めています。

 例えば、大分県竹田市の「竹田食育ツーリズム」という活動のなかで関わった「双美おばあちゃんの味噌玉」という商品があります。味噌が玉状に練りこんであり、お湯に入れるだけで味噌汁になるという、いわゆるインスタント味噌汁です。私が最初に見かけたときには、これを12個セット、乾燥ネギを一袋付けて500円で売っていましたが、売れ行きはいまひとつで、利益も出ていませんでした。

 手作りの味噌玉は、手軽に飲める家庭の味として売れる可能性を持っています。土産物としても、手ごろな価格ですし。ただ、なぜ12個もあるのか、付属の乾燥ネギは12個目を食べるときにも使えるのかなど、疑問点がたくさんありました。それらの点について、経営者と話をしたのです。

 その結果、手軽な土産物としては、半分の量、つまり6個が適切で、どの味噌玉を食べるときにもネギ入りになるよう、味噌玉自体にネギを練りこむ製品開発をしました。そして、価格は据え置き。6個セットで500円でも「買いたい」と思わせるように、デザイナーと相談してパッケージを新しくしました。

 地方創生の大きなテーマの一つに雇用創出があります。雇用を生み出すには、地域の産業が活性化しなくてはなりません。味噌玉のような特徴のある商品を磨くことで、「商売繁盛」している地元の産業を増やせば、雇用も生まれてきます。この方法は、今では「竹田方式」と呼ばれ、全国に広がっています。

地元の人が気づかない特徴を発見 地方創生に生かす「外部の視点」(画像)
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「双美おばあちゃんの味噌玉」