企業の役に立つのは、「顔が見えるネットワーク」

――ヒアリングの結果、何が必要と考えたのでしょう

領家: 間接支援では限界があることが分かりました。そこで、直接支援しようということで2010年に「ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)」という支援拠点を立ち上げました。産学官民連携による地域や地域産業の活性化を目指す「関西ネットワークシステム」(KNS)と出会ったのがきっかけでした。KNSには300人程度の参加者がおり、半分は行政から、残りは大学や企業など民間からという構成です。年4回の定例大会があり、参加者全員が8分間程度のプレゼンテーションをします。その後、交流会となり、プレゼンテーションを見て気になった人と名刺交換したり、実際のビジネスについて相談したり、という段階に入ります。継続的に参加するので親しくなりますし、定例会以外でも会うようになったりして、実業につながるようになります。

 これに参加して思ったのは、ビジネスでは初対面の企業や関係者がいきなり事業化に進むことはない、ということです。KNSのように「顔が見えるネットワーク」を作らない限り、地元の企業発展に役立つマッチング、ネットワーク作りはできないと確信しました。顔が見えるようになり、「人付き合い」が始まって、初めて事業につながる話ができるようになりますので。

 そこで始めたのが「MOBIO-Cafe」というセミナーです。18時30分から始める30人定員のワンテーマ・セミナーで、終了後には1000円の会費で交流会をします。近所のスーパーで買ってきた飲み物や惣菜を食べながら、本音で語り合います。このセミナーを毎週2回程度、年100回ペースで開催しています。予算がついている事業ではないので、大阪府の職員が企画から運営まですべてを担当し、講師にもボランティアで参加していただいています。当初は、私がKNS参加者から見つけた講師がほとんどでしたが、いまは弁護士会にも協力してもらって知財セミナーをシリーズ化しています。

「MOBIO」にある常設展示場
「MOBIO」にある常設展示場
[画像のクリックで拡大表示]