この記事は「日経トレンディ」2016年10月号(2016年9月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 90年代に国産初の本格的なスーパーカーとして注目された、ホンダの「NSX」。世界トップレベルの動力性能と操縦性を兼ね備えるなど、性能と技術の両面で世界的に高く評価されたモデルだった。そのNSXが、現代流に再解釈された形で“復活”した。

 新型の走りの中核をなすのは、新開発のツインターボエンジンと3台のモーターを組み合わせたハイブリッドシステム。エコカーのハイブリッドは燃費改善が目的だが、NSXでは極めて高い加速性能と操舵性を両立させるために使われている。

 3台のうち1台のモーターは、ターボが効くまでの僅かな時間差にエンジンの加速を補助する。これと9段の自動変速機を組み合わせたことで、鋭くかつ滑らかに加速するという。残る2台は、左右の前輪を個別に制御する。コーナリング中に外側の駆動輪へのトルク配分を増やし、内側へは減らすことで、サーキットでの高速走行でもカーブを曲がりやすくする仕掛けだ。

ホンダ「NSX」
車両本体価格/2370万円(税込み)
サイズ・重さ/全長4470×全幅2217×全高1214mm・1725kg
エンジン/V型6気筒DOHCツインターボ、3493cc
最高出力・最大トルク/エンジン373kW(507ps)/6500~7500rpm・550Nm(56.1kgm)/2000~6000rpm、後輪モーター35kW(48ps)・148Nm(15.1kgm)
バッテリー種別/リチウムイオン電池
 ※サイズ・重さは北米仕様のもの

国産スーパーカー「NSX」がハイブリッド車で復活(画像)
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後部に配置したエンジンとモーターで後輪を、前部のモーターで前輪を駆動。前後の重量配分はスポーツカーとして理想的な比率に
後部に配置したエンジンとモーターで後輪を、前部のモーターで前輪を駆動。前後の重量配分はスポーツカーとして理想的な比率に
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お値段も2370万円とスーパーカー級

 最新素材や最先端の生産技術を積極的に採用したのもポイント。車体はアルミやカーボンなどを組み合わせたことで、高い剛性と軽さを両立させたとうたう。NSXのプロトタイプに試乗した自動車ジャーナリストの松下宏氏は、「エンジンとモーターを組み合わせた加速は他と比べても別次元のもの。独自技術で新しい走りの提案をしている点にホンダらしさを感じた」と語る。

 走行性能が高いだけでなく、価格も2370万円と超高額。初代の800万円台と比べてもスーパーカー級になり、多くの人にとっては背伸びしても手の届かない存在になってしまった。だが、ホンダが持つ先端技術の結晶であり、F1にも再参入した同社のイメージリーダーの役割を果たすと考えれば納得がいく。NSXの開発で培われた技術が、将来のホンダ車に生かされる可能性も高いだろう。

デザインは力強さと軽さをイメージ。空気抵抗の低さも併せ持つという
デザインは力強さと軽さをイメージ。空気抵抗の低さも併せ持つという
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LEDを採用したことでヘッドライトは薄型に。ロービーム時には外側4個のLEDが点灯する
LEDを採用したことでヘッドライトは薄型に。ロービーム時には外側4個のLEDが点灯する
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スポーツカーらしく着座位置が低いものの、十分な視界を確保
スポーツカーらしく着座位置が低いものの、十分な視界を確保
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シフト操作はスイッチ式なのでレバーがない
シフト操作はスイッチ式なのでレバーがない
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(文/日経トレンディ編集部)