この記事は「日経トレンディ」2017年9月号(2017年8月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 販売台数500万台を突破した富士フイルム「チェキ」を筆頭に、近年インスタントカメラが世界的なブームとなっている。そんなアナログ回帰の流れのなか発売されるのが、iPhoneに装着し、内蔵カメラを利用して撮影を行うインスタントカメラ「PRYNT POCKET」だ。

バリュートレードジャパン「PRYNT POCKET」
予想実売価格/2万390円(税込み)
サイズ・重さ/幅80×高8月中7月1日さ115×奥行き50mm・210g
充電時間/180分(20枚の印刷が可能)
バッテリー/リチウムイオンバッテリー
付属品/ペーパーカートリッジ、ZINK StickerPaper(10枚)、マイクロUSBケーブル
対応スマートフォン/iPhone 5/5s /SE、6/6s、6/6s Plus、7、7 Plus

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 若い世代を中心に販売を拡大する狙いで、「銀塩カメラになじみがない世代は、紙にして思い出を残すこと自体が新鮮」(バリュートレードジャパン)という。

上面にはシャッターボタンとズームダイヤルを搭載
上面にはシャッターボタンとズームダイヤルを搭載
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プリントは専用の用紙を利用。裏面はシールになっている
プリントは専用の用紙を利用。裏面はシールになっている
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iPhone越しに覗けば、写真が動き出す

 最大の特徴は、AR技術を使った動画再生機能を搭載した点。印刷した写真をiPhone越しに覗けば、写真が動き出すという演出だ。専用アプリで最長20秒までの動画を撮影すると、動画データがプリント社のサーバーにアップされる。その動画の一部をプリントした写真が“QRコード”のような役割を果たし、アプリで読み込むと写真が動き出したかのような動画が再生される仕組みだ。

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AR機能を備えており、撮影した写真に動画をひも付けられる。iPhoneをかざすだけで、あたかも写真が“動き出す”かのように動画が再生された。動画は最長で20秒だ

 プリント時に使用する紙は、インクを使うことなく発色する「ZINK PAPER」。サイズは4.7×7.6cmで、背面はシールになっているため日記などに貼り付けられる。チェキとは違い、すぐに印刷されるので仕上がりを待つ必要もなく、手軽に使える。

使う紙は「ZINK PAPER」で、量販店などで追加購入できる
使う紙は「ZINK PAPER」で、量販店などで追加購入できる
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 ただ、発色にはやや特徴があり、画面上で確認できる撮影データに対して肌などが暗めに仕上がる。人物を被写体にすることが多いインスタントカメラとしては魅力に欠ける印象だった。

 本体にはシャッターボタンが搭載され、iPhoneの画面に触れずに撮影可能だ。ズームを調節するダイヤルもあり、一眼レフカメラ同様の操作感だった。フランスのメーカーによる商品だが、アプリは日本語化済み。動画撮影を含めたアプリ操作はやや複雑なものの、使いこなせば画像補正や加工もできる。

 クラウドファンディングサイト「Makuake」では、目標金額を早々にクリアするなど注目を集めており、8月以降には量販店などにも販路を拡大していく。

(文/日経トレンディ編集部)