この記事は「日経トレンディ」2016年6月号(2016年5月2日発売)からの先出し記事です。内容は基本的に発売日時点のものとなります

 夏が近づくにつれ悩まされる場面が増える蚊を、空気清浄機で吸い込んで捕獲する――。そんな世界初の製品をシャープが発売した。「蚊取空清 FU-GK50」は、一見すると一般的な空気清浄機とほとんど変わらない。だが実は、蚊を捕らえるためのさまざまな工夫が施されている。

 最大の特徴は、蚊が近寄っていく習性がある紫外線(UV)ライトを内蔵した点だ。本体の内側で紫外線ライトを光らせ、引き寄せられた蚊を空気と一緒に吸い込む。

 空気を取り込むために両サイドに並ぶ小窓の大きさにも、秘密がある。蚊が暗がりや物陰に隠れる習性に着目し、最も入りやすい穴の大きさと形状を、試行錯誤の末に見つけ出した。黒い本体色は空気清浄機としては珍しいが、これは蚊が黒い色に近づく習性を利用したものだ。

 こうしておびき寄せられた蚊は、小窓から空気と一緒に吸い込まれ、裏蓋の内側にセットされた粘着シートにくっついて捕獲される。実際にどれほど蚊が取れるのか取材時点では試せなかったが、シャープによる実験では、捕獲率は88~98%に達したという。加湿機能はないが、空気清浄機能は同社の他の製品と同等だ。

シャープ「蚊取空清 FU-GK50」
実勢価格/5万3870円(税込み)
サイズ・重さ/幅391×高さ540×奥行き281mm・約5.9kg
空気清浄適用床面積(目安)/23畳まで
風量/0.8~5.1m3/分
消費電力/1.8~50W
運転音/18~51dB

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蚊が最も誘われやすい大きさの小窓を両サイドに設置
蚊が最も誘われやすい大きさの小窓を両サイドに設置
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本体裏の上部にUVライトがある。青い光は動作確認用のダミー
本体裏の上部にUVライトがある。青い光は動作確認用のダミー
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「蚊取り」ボタンを押すとUVライトが点灯し、蚊をおびき寄せる
「蚊取り」ボタンを押すとUVライトが点灯し、蚊をおびき寄せる
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(2)粘着シートで捕らえる
本体の裏蓋の内側に粘着シートを取り付ける
本体の裏蓋の内側に粘着シートを取り付ける
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吸い込まれた蚊は貼り付いて逃げられない
吸い込まれた蚊は貼り付いて逃げられない
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HEPAフィルターを使うなど、空気清浄機としての性能はシャープの他のモデルと同等
HEPAフィルターを使うなど、空気清浄機としての性能はシャープの他のモデルと同等
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東南アジアでは高額でも売れ行き好調

 実は蚊取空清は、蚊が媒介する感染症に悩まされる東南アジアで、2015年9月に先行発売された製品。マレーシア保健省医療研究所の協力を得て実証試験を繰り返し、数年がかりで実用化にこぎ着けた。生産はタイ工場で、シャープとして初めて東南アジア向け製品を日本に“逆輸入”した格好だ。

 東南アジアでは高額商品であるにもかかわらず、「強気の計画だったが、その2倍の売れ行き」(シャープ)と好調。国内では3月の発表後、すでに1000件以上の予約が入るなど、生産台数は当初計画の数倍になる見通しという。空気清浄機としては異例のヒットになりそうだ。

蚊の習性を利用して捕獲する
紫外線(UV)に集まる
→ 人には見えないUVライトを利用
黒い色を好む
→ 本体色を黒のみに
暗がりや物陰に隠れる
→ 蚊が入りやすい小窓を設けた

記者の目
新規性 ⇒ 空気清浄機で蚊を吸い込んで捕らえるというアイデアは斬新

実用性 ⇒ すでに東南アジアで実績があり、日本でも効果が期待される

価 格 ⇒ 空気清浄機のボリュームゾーンで、機能を考えれば値頃感がある

担当者の
シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 空調・PCI事業部 第二商品企画部長 冨田昌志氏
シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 空調・PCI事業部 第二商品企画部長 冨田昌志氏
 東南アジア向けに、蚊を退治する機器の開発に取り組み始めたのは7年前。デング熱やマラリアといった感染症を媒介する蚊を何とかしたいというニーズが非常に大きかったからだ。当初は殺虫剤メーカーとの共同開発なども模索したが、最終的に空気清浄機と紫外線ライトを組み合わせる手法に落ち着いた。発売後の現地での評価は非常に高く、国内でも多数の予約が入るなど反響に驚いている。他の地域でも販売を検討しており、空気清浄機の普及拡大の足がかりにしたい。

(文/日経トレンディ編集部)