誰もがモノづくりに携わる時代、という趣旨で、「メーカームーブメント」という言葉が使われ始めたのが2013年頃。3Dプリンターがブームを巻き起こした時期だ。あれから数年を経て、「第2波」とも呼ぶべきムーブメントが国内で顕在化している。3Dプリンターのみならず、各種の工作機械をそろえた「モノづくりスペース」が、東京を中心に増えているのだ。
2014年末にDMM.comが「DMM.make akiba」をオープンしたのに続き、2015年にはホームセンターのカインズが店舗内に「カインズ工房」の設置をスタート。そしてこの4月、富士通の100%出資でオープンしたのが、米国最大手の日本1号店「テックショップ東京」だ。
約1200m2ものスペースに、3Dプリンターはもちろん、金属加工や木工、テキスタイル(布地)など、高いものは数百万円クラスの大型機械を多数そろえる。鋼鉄も精密に切り出せるワイヤカット放電加工機や、縦横1m以上の木板も加工できる木工用CNCマシニングなど、珍しい機材が並ぶ。
●営業時間/10時~23時(年末年始・夏季休業あり)
●サービス内容/工作機械と作業スペースの提供、セミナールームの貸し出し(別料金)、製作物の保管(別料金)など
テキスタイル関連のモノづくりツールが充実
なかでも注目なのが、テキスタイル関連の充実ぶりだ。アパレルメーカーでも使われる職業用刺しゅうミシンや、高品質な染め物が自動でできるデジタル捺染機など、専門性の高い道具がそろう。
理由は明快。現在のメーカーズムーブメントを支える、女性のハンドメード需要を取り込むためだ。趣味の創作にとどまらず、「メルカリ」などを通じて自分の作品を販売したいというニーズが高まっている。テックショップもプレオープン期間中には女性の見学客が多く集まった。「登録会員の女性比率は4割程度を見込んでいる」(テックショップジャパン)。
機材の講習会を随時実施する他、作業に合わせてアドバイスを行うスタッフも常駐させ、初心者のニーズにも対応。今後は全国の主要都市への展開も検討したいという。
1日利用 | 月間利用 | 年間利用 | |
一般会員 | 4500円 | 1万8500円 | 19万8000円 |
工作機械を 使わない会員 |
1万1500円 | 12万4000円 |
実用性 ⇒ 製作物の保管サービスなど、米テックショップのノウハウが生きる
料 金 ⇒ 設備が充実するぶん、気軽に利用できる料金ではない。まずは見学を

(文/日経トレンディ編集部)