「South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト、SXSW)」は、毎年3月中旬に米国・テキサス州オースティンで開催される、音楽と映画、最新技術の複合イベント。展示会をはじめセミナー、ライブ、上映会、コンテストなど数千もの催しが行われ、80カ国以上から8万人以上もの来場者を集める。今回はそのなかでも、世界の最新技術とベンチャー企業が集まる「インタラクティブ」部門を取材。世界に打って出る日本企業の動きと、驚くようなアイデアを提示する海外の注目ベンチャーの動きを、現地からリポートする。

メイン会場となる、オースティン・コンベンションセンター
メイン会場となる、オースティン・コンベンションセンター
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 SXSWは、ライブを中心とした音楽イベントとして86年にスタート。その後94年に映画、98年にインタラクティブ部門が加わり、現在の形態になった。30周年の節目となる今年は、基調講演に何とバラク・オバマ大統領が登壇。会期は3月11日から20日まで、実に10日間というロングランのイベントだ。

メイン会場のエントランス
メイン会場のエントランス
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基調講演に登壇したオバマ大統領。イノベーションが経済に与える影響について、テキサス・トリビューン紙CEOと対談
基調講演に登壇したオバマ大統領。イノベーションが経済に与える影響について、テキサス・トリビューン紙CEOと対談
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 今回取材するのはインタラクティブ部門。かつて、ツイッター(07年)や位置情報アプリ・フォースクエア(09年)がこのイベントで大人気を博し、世界的なサービスへと成長したことで、一躍注目を集めるようになった。09年にはインタラクティブ部門が音楽部門の来場者数を抜き、イベントの核へと成長。昨年はインタラクティブ部門だけで、85カ国から約3万3000人の来場者を集めた。

このイベントでしか得られない反応がある

報道からVR、医学、ポルノに至るまで幅広いセミナーが展開される
報道からVR、医学、ポルノに至るまで幅広いセミナーが展開される
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 会期中はトレードショー(出展者がブースを構える一般的な展示会)に加え、セミナーやプレゼンコンテストが無数に行われ、セミナーの数だけでもゆうに1000を超える。有力なベンチャー企業と、ベンチャーとつながりを持つ・持ちたい大企業が世界中から集結。ラスベガスで行われる世界最大の家電見本市「CES」は、すでに出来上がっている製品の受注会という色彩が強いのに対し、SXSWはどちらかと言えば、これから世に出る技術、アイデアをいち早く知るためのイベントになっている。

 出展者の多くがSXSWならではの要素として挙げるのが、来場者の多彩さと、そこから得られるフィードバックの多様さ。一般的なIT業界の展示会は、来場者も業界関係者に偏りがちだ。SXSWの場合は、音楽や映像に関するイベントも並行して行われるため、世界からあらゆるクリエイティブ産業に携わる人間が集まる。ベンチャー投資家や学術系の人材、報道関係者も幅広く来場する。

会場はコンベンションセンターにとどまらない。街にも企業の特設ブースが多数出現、オースティン全体を挙げてのお祭りムードとなる
会場はコンベンションセンターにとどまらない。街にも企業の特設ブースが多数出現、オースティン全体を挙げてのお祭りムードとなる
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今年のトップスポンサーの1社であるマツダは、会場周辺でマツダ車の試乗を実施
今年のトップスポンサーの1社であるマツダは、会場周辺でマツダ車の試乗を実施
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音楽部門の開幕は15日だが、それに先駆けて街では早くも多数のパフォーマンスが繰り広げられている
音楽部門の開幕は15日だが、それに先駆けて街では早くも多数のパフォーマンスが繰り広げられている
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  博報堂アイ・スタジオのクリエイティブディレクター・望月重太朗氏は、今年で3年連続での出展となる。14年に、月面の映像と未来的な音楽、ルームランナーを組み合わせた「TRED THE MOON」で初出展を果たした。「『音楽がもたらす運動への効果』という視点で記事化されたり、米国の大学の関連媒体に取り上げられたりと、他の展示会では出会うのが難しい人々に関心を持ってもらえた」と語る。作品や製品の新たな可能性を探るうえで、多様な人々からインプットが得られるこのイベントは、独自の存在価値があるのだ。

 日本からSXSWに挑む注目のベンチャー企業を中心に、将来ツイッターのように世界に羽ばたくかもしれない斬新な製品やアイデアを、現地から連載形式でリポートする。

(文/有我武紘=日経トレンディ)

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