【分析5】配信チャート~ダウンロードでも堂々の上位入り

 最後に、ダウンロード部門でのヒットについても見てみます。「CDは売れていても、若い子が多い音楽配信では売れてないんでしょ?」と思う人もいそうですし、実際、一部のベテラン・アーティストでは配信されていない楽曲も多く見られます(桑田ソロの一部やKUWATA BANDの楽曲も2015年末時点では未配信)。その中で、サザンオールスターズ(2014年末に全曲の配信が開始)の最新アルバムについて、2015年年間TOP10をCDパッケージ(オリコン)とダウンロード(iTunes)で比較してみました。

表8 CDアルバムとダウンロードの年間TOP10
順位 CDアルバム ダウンロード
1 DREAMS COME TRUE
2 三代目 J Soul Brothers 「ワイルド・スピード スカイミッション」
3 DREAMS COME TRUE サザンオールスターズ
4 AKB48 テイラー・スウィフト
5 AKB48 ONE OK ROCK
6 Mr.Children サム・スミス
7 サザンオールスターズ SEKAI NO OWARI
8 SEKAI NO OWARI アリアナ・グランデ
9 関ジャニ∞ 三代目 J Soul Brothers
10 Kis-My-Ft2 「2015グラミー・ノミニーズ」
※スペースの都合上、アーティスト名のみ(Various Artistsは作品名のみ)で表記。CDはオリコン、ダウンロードはiTunesより


 これを見ると、アイドルグループが半数を占めるCDアルバムでも、洋楽作品が半数を占めるダウンロードでも、サザンは上位入りしていることが分かります。その中で、両チャートにランクインしたベテランの作品は、DREAMS COME TRUEと、サザンオールスターズの2作のみ。しかも、DREAMS COME TRUEのほうは50曲入りのオールタイムベストで、普段のオリジナル盤を購入しないファンまでも多数引き寄せた結果での好成績(実際、彼らの前オリジナルの4倍以上の売り上げ)なのに対し、サザンオールスターズは13年から14年の先行シングルを収録しているとはいえ、オリジナル盤ですから、このCD7位、iTunes3位というのは大健闘といえるでしょう。

 また、2014年12月第3週にiTunesにて全曲の配信を開始した際、週間TOP50にやはり5つの年代の楽曲が計14曲ランクインしたことも、やはりリアルタイムでのファンのみならず、後追いで知ったファンも多いからだと考えられます。

【まとめ】世代を超えて支持される「ヒット曲」「ヒット・アーティスト」

 以上、5つの切り口で、桑田佳祐のスゴさを振り返ってきました。このような歴史をひも解いてみると、40代、50代と衰えずヒットを飛ばしていることから、この還暦以降も新たなヒット曲が出ることは間違いないでしょう。サザンオールスターズや桑田佳祐のライブに行くと、親子2代、時には3代にわたって来ているファンの方を見かけることも少なくありません。そんな世代を超えて支持される楽曲やアーティストこそが「ヒット曲」であり「ヒット・アーティスト」だと実感しています。今後も、そんな楽曲が多数生まれることを一ファンとしても期待しています!

臼井 孝(うすい・たかし)
1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽系広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のマーケティングに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やLISMO Storeの監修、さらにCD企画(『エンカのチカラ』シリーズや、畑中葉子『後から前からBOX』、松崎しげる『愛のメモリー』メガ盛りシングルなど)をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信などでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。ちなみに、私がよく歌うのは「スキップ・ビート」「マンピーのG☆SPOT」「天国オン・ザ・ビーチ」「ハダカ DE音頭 ~祭りだ!! Naked〜」など。私にとって桑田ソングは、いつでも男子校気分に戻れる(?)カンフル剤なのです。Twitterは@t2umusic。

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