【リテールAI検定対策講座5 リテールAI実現のためのSCM基礎（講義全文）】

　リテールAI検定の基礎知識編、SCMについて、この動画ではリテールAIを実現するために必要なSCMの前提知識について考えます。原材料の調達から生産、物流、販売のつながりがサプライチェーンです。サプライチェーンマネジメントとは、このサプライチェーン全体の最適化を目指す手法です。そのために、複数企業の業務プロセスをネットワークで結び、情報を共有します。サプライチェーンマネジメントが発達してきた背景を見てみましょう。

　サプライチェーンの前身はQR（Quick Response）です。QRは米国のアパレル業界で提唱された経営手法です。POSデータから店頭での売れ筋商品を把握します。そして、それをオンラインでメーカーに伝えます。それを基に生産量を調整し、QRによって販売機会のロスを低減することができました。このほかにも在庫の削減、返品ロスの削減などを目標としていきます。その動きを、米国食品業界団体が広げたものがECRです。サプライチェーンマネジメントは、これらの動きがほかの業界全体に波及し、サプライチェーン全体の最適化を目指す動きとなりました。サプライチェーンマネジメントを実現するには、業界内における他企業との取り組みが重要です。業界を越えた取り組みを理解するために、サプライチェーンマネジメントの元となるECRについて見ていきます。

　ECRにおいて重視しているのは、取引から取り組みへの転換です。取引では自社利益を最大化するためにお互いの領域を侵犯することがあります。また、手の内を隠して利益を自分のところにどれだけ残すかという敵対的な関係になりがちでした。このような関係を変えていきます。消費者に提供する価値を、バリューチェーン全体で大きくしていく、その方法を一緒になって考える、それが取り組みです。