モビリティー革命を起こす WILLERの挑戦 第4回/全4回

顧客の要望と社会課題を解決するMaaS(後編)

WILLERが進めているMaaS構想について、後編では「ライドヘイリング」や「自動運転」などの先進的な取り組みやその考え方を、代表取締役の村瀨茂高氏が語ります。
再生時間:21分

【顧客の要望と社会課題を解決するMaaS(後編):講演全文】

 これは昨年やったモデルで、昨年9月10月に、先ほど言ったように、まっすぐ鉄道があるところの沿線にあるところを、いろんな交通手段で結ぼうと9月10月に実証実験をやりました。今年2月3月もやりました。ここにはアプリがなくて、アナログ的なウェブサービスを一生懸命、アナログ的ではないですね、ウェブ上で動くものを一生懸命つなぎながらMaaSもどき的な実証実験をやったのがここの事例になっています。

 これを基に、今回つくったのがアプリで動くサービスになっています。名前は、もちろん1個1個検索して予約することもできますが、サブスクリプションという言い方より、パス的なものもつくっています。北海道ネイチャーパスというパスをつくっていまして、JR釧網本線の3日間乗り放題券と下にあるような路線バス乗車券を組み合わせて3日間で8900円、4日で9900円といったパスをつくっています。右側のようなモデルコースをずっと行っていただくと、実は1万3400円かかるところが、このパスでいくと9900円で行ける。こんなかたちで、今回リリースさせていただきます。

 今言った公共交通だけですと、変な言い方ですが地下鉄一日券と何が違うのみたいな話になりますが、ここに、観光MaaSということで、ここに載っているような、いろんな交通手段を取り入れています。先ほどもご紹介させていただいた左上がトヨタのi-ROADを使った小型モビリティー、こういったものを知床に置くことで、知床バスターミナルから、小型モビリティーは非常に自然と近い、アウトドア感覚を楽しみながら、これで回りながら、知床五湖に行ったり、オシンコシンの滝に行ったり、カムイワッカ湯の滝に行くようなものを自由に楽しんでいただいてもう一度、ウトロバスターミナルに戻るみたいな、もしくは鉄道の無人駅ですが、みどり池から非常に人気のある神の子池までを約15分くらいですが、このi-ROADで行っていただいて、途中で写真を撮りながら、i-ROADで行って、また戻ってくるような、こういったものが入ったりというのを入れたり、2番目がシェアバスということで、弟子屈辺りにある硫黄山、摩周湖、屈斜路湖といったところは、けっこう近いところにありますが、横断的に回る仕組みがなかったので、シェアバスみたいなものを運行させたり、同じようにレストランバスや観光タクシー、空港バス、知床をめぐる探検バス、移動のなかに鉄道の途中の駅から釧路湿原をカヌーで下る、これも立派な交通ですので、こういったカヌーも入れています。

 トレッキングは、ぐるっと戻ってしまうので、これは移動していないのですが、それから観光船と、こういったかたちで、それぞれの景色を最も楽しめる交通を、いろいろオリジナルにつくりながら最適配置をする。こんなことをやっています。これによって、実はレンタカーで回るのは便利ですが、レンタカーだけでは、回ることが体験できない、例えば小型モビリティーとか、もしくはカヌーとか、こういったことで下ることによって、その景色を最も楽しみながら体験できる、こういったことを組み合わせたサービスを入れています。ですので、最初にご紹介した公共交通という、大きな移動をするものに対して、こういったいろんな体験ができるアクティビティーを追加で足せるイメージのつくり方をしています。今のコースを順番に回ると、こんなモデルコースになっています。

 こうなると、MaaSというより旅行会社の商品のように見えますが、何を解決したかったかというと、今話だけを聞くと非常にいいのですが、行って、実際に検索すると、電車が2時間に1本しかない。路線バスは1時間に1本しかない。そういう状況ですと、実は、成し得られないので、いったんは、お客さまを集めようということで、こういうモデルコース的なものを見せることで、同じ時間帯に、同じ地域にいる人をたくさんつくろうみたいなことを、まずは第1ステップでやらなければいけないのではないかということで、空白で空いている時間を埋めるために、非常に不本意ではありますが旅行会社的な、旅行会社が悪いわけではないのですが、こういったモデルコースをいくつか、われわれのほうで提案することで同じように動く方を増やしていこうということでシェアを高めたいということを今、やっています。これが実際にわれわれのウェブサイトでも、すでに予約を始めていますが、アプリとしては7月下旬くらいから始めていこうとしている観光MaaSのわれわれの取り組みになっています。

ベトナムでのライドヘイリング

 次にベトナムのライドヘイリングです。先ほどご紹介した緑色のマイリンタクシー、全部で1万4000台お持ちで、唯一、ベトナム全省に営業されている会社さんになります。

 ここに今、われわれがアプリを導入してタクシー配車ができる状態にしています。大きな特徴はないのですが、ちょっとした特徴でいいますと、今回日本で7月に出すアプリを使って、日本語のままで、同じUIで、ベトナムでタクシーが呼べるようになっています。

 もちろん、これはその逆も可です。ということで、日本語、ベトナム語、英語みたいなかたちで予約が可能になっています。今回、マイリン社さんという会社が非常に規模感が大きくて、ベトナムの約30%くらいのシェアをお持ちなので、そういう面では、この1社でやることによって、どんなタクシーが来るか分からないという、品質や安全、今後は生活サービスみたいなサービスも含めて1社でやっていただいているので、そういったことの、伝達という言い方がいいのか、教育という言葉がいいのか分かりませんが、これが非常にしやすいと思っていて、そういう面では、1社でやっている強みを生かして、新しいサービスをいろいろチャレンジを、ベトナム全土に広げるみたいなことがやりやすいのかなと思っています。

 2つ目も同じことですが、生活サービスということで、代わりに出張の方には朝、クリーニングに届けておいて、帰るとき、迎えに行ったら、クリーニングは渡してあげるとか、いろんなサービスも、同じ会社で1社なので、管理という言葉がいいか分かりませんが、非常にしっかり管理されている会社ですので、こういったことも何かでき始めるのではないかと思っています。実際には9月末までにベトナム北部、南部を合わせて5000台のタクシーに1個ずつ、今タブレットを付けていて、9月までに5000台を終了して、同時に運転手さんへの教育をしていくというのを今、順次進めています。7月からは、このマイリン社さんの利用されているお客さまの基盤を使いながら、一般の乗務員さんも入れるライドヘイリングも併せて展開を始めていこうと今、考えています。ですので、これは本当にこれからチャレンジというところをやっていくところになっています。

自動運転のビジネスモデルをつくる

 最後に自動運転についてお話しさせていただきます。これはリリースもされていますが、3年間Jurong Lake Gardensというシンガポールの国立公園のなかで自動運転を運行させます。毎日ですね。仕組みは、自動運転の制御をするテクノロジーを持った会社、シンガポールのシンガポールテクノロジーという国営と言っていいと思いますが国営のファンドが出しているテクノロジー会社さんで、宇宙衛星とか、そういった分野もやっているテクノロジー会社さんです。このシンガポールテクノロジーさんがやっているテクノロジーのところに、われわれがオペレーション会社として共同して、今、サービスを開始することをやっています。

 ですので、われわれは自動運転のテクノロジーを開発する会社というより、この自動運転を使って実際にお客さんを乗せて運行するオペレーションをする、もしくはお客さんにとって高い価値のサービスはどういったサービスをつくればいいのかを考えるのが、われわれの仕事になっています。具体的にはここに書いてあるような、1つ目はオペレーション会社の役割として、安全安心の確保、2番目に自動運転をどうつくるかという商品企画、3番目にチケットの販売、沿線の住民の方に対する対応、乗車されるお客さま対応、こういったところをわれわれが請け負っているところになっています。

 実際にわれわれがWILLERとして、今このなかで目的としているところ、1つ目がビジネスモデルの開発、自動運転をこれが安全に動くかどうかは、今非常に、本当にあと少しというところまで来ていると思っています。特にわれわれが今回やっているようなスピード15キロ20キロで走るような車両に関しては、ある一定程度の安全が確保できてきているんだろうなと思っています。そうすると、テクノロジーの実証実験というところから、商業化に向けた実際にどうやって誰がお客さんを乗せるの、お客さんに、どんな価値ができるのみたいな、こういったところが出てくるかなと思っていまして、こういったところに向けたビジネスモデルづくりをやっています。

 われわれの会社は、最初にご紹介させていただいたように、1つは運輸事業をやっています。運輸事業としてどうやってお客さまに安全を確保するか、こういったことが1つあると思っています。もう1個は移動マーケティングということで、ITを使ったいろんなマーケティングをやってきました。そのなかでお客さんが何が欲しいかをやってきています。

 この安全をどう守るか、お客さんの要望を、どう拾い上げて、それをつくるか、こういったことを考えながら、このビジネスモデルをつくっていこうと考えています。

 2番目がマニュアルの作成ということで、今後、運行していくことになると運輸規程であったり自動車操業基準のような取り扱いとか、こういったことが運行会社側がつくっていかなければいけないものがあると思っています。これを今回、シンガポール向けにつくりました。同時に運行しながら、これをブラッシュアップして、実際に運行するのに必要な、こういったマニュアル関係の作成をしっかりやっていきたいと思っています。

 3番目に、受容分析ということで乗られた方が、運転手がいない時点で、どんなところに本当に不安を持つか、もしくは、自動運転と一緒に、そこの近くを歩いている方が、どういう不安を持つか、こういった人がどう自動運転に持つかは、この受容調査をやっていきたいと考えています。最後に、自動運転は運転手がいるかいないかが問題よりは、自動運転自体が1つのデバイスとして、どんなサービスの価値を生んでいくかを考えていくことが、非常に重要かなと思っています。

 このなかにもいろんな、そんなチャレンジをやりたいと思っています。例えばスマホがあって、単に、これは持ち運びできる携帯ではなくて、ここにいろんなアプリが載って、デバイスとして、実は生活が大きく変わっているように、自動運転もそこがなんなのかは、よく言われていることですが、これの解を出さないと、いつまでたっても一緒だろうなと思っていますので、こういったチャレンジのなかから、しっかりとそのサービスを考えていきたいと考えています。自動運転に関して僕らが考えているのは安全を確保したうえでというのは大前提ですが、商業化していかないと、なかなか実は進化していかないと思っています。

 いろんな実証実験で補助金をもらいながらやっても、限界があって、そういうことよりも、しっかりと商業化していくなかから、継続的にやっていくなかから、新しいものを見つけるのはすごく重要だなと思っています。

 われわれは今、シンガポールのなかでNavyaの車両を活用して、時速15キロから20キロくらいで、セーフティーサポートという人が乗って、運転手ではないのですが、乗って運行する。こういった条件のなかで3つのチャレンジをやろうとしています。1つ目が先ほどご紹介した国立公園 N-Parksのなかで、決められたところ、プリセット型のオンデマンド型、フリー乗降できる、こんな仕組みをまず最初にトライアルしています。6カ月間はお客さんが乗った状態ですが、無償で運行します。6カ月の期間がたった後はお客さまからお金をもらって始まっていきます。

 全体の期間は3年間です。実際に自動運転でお客さまからお金をもらってサービスを始めていく。それはプリセット型の決まった路線だけれども、乗り降り自由でやっていく。

 SMRTの地下鉄の駅から2.5キロの距離を同じところをずっと走っているのを、スマホで呼ぶと来てくれて、降りたいところまで連れて行ってくれる、こんなことをやろうとしています。

 2番目に公道を走る実証実験をやろうとしています。一応、R&Dプレートというシンガポール政府の、全部公道ではないのですが一部公道を走るライセンスもいただきましたので、今年度、私有地から公道を一部あって私有地、それは決まったプリセットですがここからあそこへ行きたいというと、自動運転が来て、目的地まで乗せていく。こんなサービスをやろうとしています。ここのビジネスモデルは広告収入です。3番目に、シンガポールの大きい公園、 パークのなかのオンデマンドを4台くらいの車両を使って公園のなかで、けっこう大きな公園ですので、そのなかで自由に呼んで行き来できるサービスをやろうと考えています。これは最初から有償で、こういったサービスを提供しようと今、考えています。こんなところを、もうちょっと具体的にいうと1個1個目的がありながら将来のシェアバスのなかで、人がいるかいないかよりは、自動運転だからできるってどういうことなの? みたいなことを追求しながらやっていきたいと考えています。

 最後になりますが、われわれの強みが、1つは今のブッキングシステム。検索、予約、ペイメントとあると、ブッキングという、予約のところをそれぞれの目的に合わせた人たちに対して、いろいろなモビリティーがチョイスできていくような、ブッキングシステムをより強く深くやっていきたいと思っています。アプリでは、先ほどいった検索と、ペイメントもできますが、ここではなくて、われわれはブッキングというところを深くやっていきたいと思っています。これは将来的に、先ほどあったようなクラウド的に提供していくことでbusiness innovationを起こす方々が、いろんなアプリをつくっていただけたらいいかなと思っています。

 2番目に、そのブッキングシステムのなかの商品の品ぞろえでいうと、それぞれの目的に合わせた車両の開発、もしくはサービスの、ビジネスモデルの構築、こういったことが非常に重要かなと思っていますので、自動運転も含めて、こういった車両の開発とサービスの開発をやっていきたいと考えています。

 3番目に、われわれが日本で当たり前になっているおもてなしや安全をしっかりとアプリのなかから、そういった文化が、日本だけではなくて、このアプリが海外に出たときに、それをしっかりと日本の良さとして伝えていけることをやっていきたいと考えています。

 こういったところをわれわれは、今言ったような、WILLERしか名前が出ていませんが、この7月末にアプリがリリースしたときには、日本のいろんな、われわれと一緒にパートナーの企業の方も名前を出させていただきながらWILLERのアプリというより日本企業のテクノロジーを集めた、こういったMaaSみたいなことをつくっていきたいと考えています。

 それを、今載っていますが、まずは日本、それから次にベトナム・シンガポール・台湾を年内くらいにリリースしたいと考えています。年末ギリギリくらいになると思いますが、日本に続いてこの3カ国をやりたいと考えています。翌年6月までにはインドネシアからカンボジアに至るまで、この6カ国のリリースをしたいと考えています。すでにこの日本がA、ベトナムのところがB、それ以外をCとすると、それぞれに向けては交通プロバイダーの方とか、それぞれ必要な地図であったり決済であったり、いろんな方と打ち合わせを始めていて、今言ったようなABCのようなランクで進めています。

 われわれの特徴は、もちろん日本で中心的に、日本のMaaSをしっかりつくることが第一条件ですが、同時に、日本だけではなくて、ASEAN地域、これくらいの規模感のところまでの社会課題、日本とまったく交通状況が違ったり、文化歴史が違うところにおいても、使えるようなベースとなるシステムをつくること。これを今やっています。それが先ほどご紹介させていただいた、シンガポールにわれわれがヘッドクオーターをつくって、ASEANのマーケティングを一生懸命この2年間やってきた理由になっています。まずは日本をしっかりやるということですが、続けて、日本企業の皆さまと力を合わせてASEAN全体の社会課題までを解決できるようなMaaSをつくっていきたいと考えています。私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

 *このテキストは講演での発言を、文字起こししたものです。理解する参考情報としてご覧ください。

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第3回 顧客の要望と社会課題を解決するMaaS(前編)

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このセミナーの目次

モビリティー革命を起こす WILLERの挑戦
  • 全4回

モビリティー革命を起こす WILLERの挑戦

ASEANや日本での自動運転やライドシェアサービスなど、次世代を意識したモビリティーサービスの進化に挑戦しているWILLER。北海道での「観光MaaS」や京都丹後鉄道の「生活MaaS」などの同社の取り組み事例を交えながら、MaaSで世の中がどう変わるのか、日本で根付かせるにはどうすればよいのかについて、代表取締役の村瀨茂高氏が解説します。

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村瀨 茂高

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