2014年ごろから日本に「爆買い旋風」を巻き起こした中国人観光客。沈静化したかにみえる中国人観光客の買い物意欲の実態とは? 中国最大の検索サービス「Baidu」の調査レポートなどを基に、日本を訪れる中国人観光客の最新事情をデータでひも解く本連載。中国情報誌「サーチナポスト」副編集長などを歴任してきた中国・中華圏ウオッチャーの如月隼人氏が分析する。

日本旅行を楽しむ中国人の急増と彼らの極めて旺盛な買い物、いわゆる「爆買い」が話題になったのは2014年ごろだった。中国人客はそれ以降も増え続けている。インバウンド業界とその周辺にとっては、中国人客をターゲットに売り上げをどう伸ばすか、そもそも今後も中国人客の増加に期待できるのか、といったことは気になるところだ。
日本政府観光局によると、17年通年の訪日外客数は前年比19.3%増の2869万1000人。うち中国人客は15.4%増の735万6000人で国と地域別では世界第1位だった。ただし、同年で最も目覚ましい伸びを見せたのは韓国人で、前年比40.3%増の714万人。韓国人訪日客の増加は18年も続いており、1~2月通算の訪日客数は前年同期比40.7%増で、中国人客を上回って第1位になった。
ただ、韓国人訪日客の増加した原因は、「日本旅行への人気増大」だけではないようだ。韓国メディアの聯合ニュースによると、17年に中国を訪れた韓国人は前年比13%減の452万人にとどまった(18年1月22日付)。原因として考えられるのが、韓国国内でのTHAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)配備に端を発した中韓関係の悪化だ。同年における韓国人訪日客の増加分については、中国旅行を敬遠したことにともなう「次善の策」として日本旅行を選択したケースも多いとの推測が成り立つ。
一方の中国人客は、日中関係が現在と比べても良好とは言えない時期だった14年にも前年比83.3%増、15年には同107.3%という「爆発的」な伸びを示していた。そして16年には27.6%増、17年には15.4%増だった。
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