定点観測店のローソンTOC大崎店では、毎日麺類コーナーの棚展開が変わる。理由は、寒暖差による人気商品の変化だ。真冬でも気温が上がる日には、「冷やし麺」の需要が突発的に上昇。2019年2月後半には、夏の定番商品である冷やし中華をいち早く投入して、棚の充実を図った。
寒さのピークを過ぎたことで、麺類コーナーの売れ筋商品に変化が生じてきた。暖かくなる日には、冬でも冷やし麺が一定数売れるという。「温度が高くなる日に対応すべく、2019年2月からは2、3品、冷やし麺を常備している」(ローソンTOC大崎店店長の越智かほる子氏)。夏の定番といったイメージのある冷やし中華も2月後半に発売するなど、ラインアップをさらに充実させている。
もっとも、平時では温麺がよく売れる。魚介ダシをきかせたスープが特徴の新商品3種の中では、「海老味噌ラーメン」(税込み498円)が特に好調。「レンジ麺ならではの“味の奥行き”がグルメ志向のニーズに合致したのではないか」(越智氏)。
チルドデザートコーナーでは、機能性ヨーグルトが全体的に好調だ。15年に「機能性表示食品」制度が始まって以来、ヨーグルト市場では各メーカーがオリジナルの乳酸菌から得られる効用をうたえるようになった。同制度は国の定めるルールに基づき、事業者が食品の機能性に関する科学的根拠などを販売前に消費者庁に届け出ることで、パッケージなどで打ち出せる制度だ。
折からの健康ブームの追い風も受け、ロングセラー商品に大成長。朝食用として、朝に購入する人が多いという。季節柄、特に売れ筋なのが「明治プロビオヨーグルトR-1」(税込み139円)だ。「インフルエンザなどの流行で、体調管理を目的に購入する人が目立つ」と越智氏はみる。
商品価値を変え大粒ラムネがヒット
菓子コーナーでは意外な“機能性食品”が売れている。森永製菓の「大粒ラムネ」(税込み108円)だ。通常のラムネと比べて、約1.5倍サイズのこの商品。一見、機能性食品には見えない定番菓子だが、パッケージなどで「ぶどう糖90%配合」をうたい、脳のエネルギー源となることをアピール。「脳の活性化につながるのでは?」とSNSで情報が拡散され、仕事の生産性を上げたいビジネスパーソンの心をつかんだ。おなじみのボトル型から袋型に変更したこともポイント。駄菓子のイメージが払拭され、オフィスでも食べやすくなった。
大粒ラムネは18年3月に森永製菓が発売したものの、あまりの人気ぶりから約1カ月で年間販売計画数量が売り切れる事態に。18年10月から全国で再発売し、19年2月は受験生にもよく売れたという。単なる菓子から、集中力を高めるための仕事や勉強のお共へと商品の便益を変えたことで、新しい顧客層の開拓につながりヒットした。
バレンタインでGODIVAと初コラボ
2月14日のバレンタインでは、高価な価格設定にもかかわらず「Uchi Cafe × GODIVA ショコラケーキ ラズベリー」(税込み450円)が好調に推移した。ローソンと高級チョコレートブランドGODIVAのコラボスイーツは、17年6月以来シリーズ累計1900万個を販売してきた。だが意外なことにバレンタインでは初コラボとなる。本格的な味わいがファンを増やし、高級スイーツの新市場を創成。GODIVAのブランド力はいまだ健在のようだ。
(写真/古立康三)