ファミリーマートで大きな変化が見られるのが、ホットドリンクの棚だ。500ml前後と大容量の商品が続々登場している。背景には“ちびだら飲み”が定着したことと、消費者のコスパ意識の高まりがある。
ホットドリンクは今冬、市場のトレンドに大きな変化があった。17年までのペットボトル入りホットドリンクは350mlが主流だったが、18年は500mlの商品が続々登場。ファミリーマートではホットドリンク自体のアイテム数が昨年より10増え、合計18アイテムが揃った。
ホットドリンクが大容量化した背景には、オフィスでの“ちびだら飲み”が定着したこともある。以前は、温かさが売りのホットドリンクは「冷める前に飲み切る」が鉄則だった。だが最近はメーカー側の工夫もあり、「冷めてもおいしい」へと消費者の意識や嗜好も変化しているようだ。
売れ行きを見ると、定番商品の「伊藤園 おーいお茶」(税込み129円)がトップを走る。大容量化したことでコスパ意識の高い30~40代の女性の購入比率も増え、ホットドリンク全体の売り上げ伸長につながった。
従来の小容量のホットドリンクのなかでは、「ジョージア 猿田彦珈琲監修の蜂蜜ラテ」(税込み144円)に注目。以前は、コーヒーの購買層は男性が主流だった。だが、猿田彦珈琲の店舗で人気メニューのオレンジ薫る蜂蜜風味のラテの登場で、女性客もこぞって手に取ったという。
自販機には並べきれないことが多い500mlのホットドリンクは、コンビニが主戦場。売り上げ最大のピークは12月から2月。商品の大容量化や人気アイテムの参入により、さらなる売り上げ増が期待できそうだ。
「ウコンの力」ゼリータイプが登場
忘年会シーズン前には機能性ドリンクのコーナーで飲酒対策飲料が急伸。
飲酒対策飲料といえば「ウコンの力」(税込み206円)と「ヘパリーゼ」(税込み258円)が2強とされる。18年はそこに「ウコンの力 スキッパラIN」(税込み250円)が参戦。飲酒前の空腹感を満たすウコンの力シリーズ初のゼリー飲料として、18年10月末の先行発売後の出足は堅調。飲酒対策飲料の新たなトレンドになっている。
通常、飲酒対策飲料の購買層は30代以降の男性が中心だったが、「ウコンの力 スキッパラIN」が新戦力として加入したことで飲酒経験の浅い20代にも浸透中。
男性用リップクリームが躍進
季節関連品のヒットがコーナー全体の売り上げを牽引しているのは、化粧品・日用品の棚も同じだ。
「MEN’S TBCメンズリップクリーム」(税込み378円)は、今シーズンのヒットアイテム。売り上げ好調につき、3フェイスで販売している。「スキンケアに興味や関心を抱く男性が増えたこともあり、男性用化粧品の出荷額は10年で約2倍に増加している。スキンケアに機能性だけでなく、美容要素を求める声も高まっていた」(ファミリーマート)。実際、ファミリーマートにおけるリップクリーム購買層は、男女比にして4:6とほぼ半々だ。
MEN’S TBCメンズリップクリームが女性向け商品と明らかに違うのは、「テカらずうるおう」という点。ツヤ感を抑えつつ、高い保湿力を維持したリップクリームが男性消費者の心をつかんだ。
女性用のリップクリーム市場も引き続き活況だ。売れ筋の2トップは最安値の「メンソレータム薬用リップスティック」(税込み330円)と最高値の「DHC薬用リップクリーム」(税込み756円)。価格面では二極化傾向にある。値段で選ぶか、美容系に強いブランドで選ぶか。消費者の好みが明確に分かれる結果となっている。
菓子系喉あめは「龍角散」に軍配
菓子のあめが並ぶ棚では今冬、喉あめのラインアップが充実している。
菓子のあめの売り上げは前年比98~99%と横ばいで推移。「あめの需要はグミに取って代わられている部分もあるが、風邪・花粉・猛暑対策商品や高価格帯の商品は売上が伸長している」(ファミリーマート)。
最も売れている菓子系の喉あめは「龍角散ののどすっきり飴袋」(税込み257円)。ブランド力が高い商品の強さを見せつけた格好だが、18年は大正製薬、ムンディファーマ(イソジン)、カンロ、養命酒など、各社が様々な切り口・コンセプトの商品を市場に投入。今後はより“目的買い”を意識した購買行動が高まりそうだ。
(写真/古立康三)