本連載で定点観測しているローソンTOC大崎店の直近で最も大きなニュースは、パンの棚が大きく刷新されて、ブランパンシリーズが充実したことだ。その売り上げは前年比で10%増と、その勢いはとどまるところを知らない。
小麦粉に比べ糖質が少なく、食物繊維などの栄養成分を多く含むブラン(穀物の外皮)を使用したブランパンは2012年の発売以降、現在までに累計2億3000万個以上の販売数を誇るローソンの大ヒット商品群だ。糖質オフブームや健康志向が追い風となり、パンの棚に新市場を創成した。
18年11月からは、新たに9品がラインアップに加わった。売り上げが急伸しているのは「ブランのサラダチキンマヨネーズパン 2個入」(税込み150円)だ。サラダチキンの人気が定着するなか、糖質を抑えたブランパンと組み合わせたことで男女問わず手に取る商品に仕立てた。
新潮流も生まれつつある。「ブランビスケットパン」(税込み140円)と「ブランビスケットパン メープル」(税込み140円)は、それぞれパン生地にプロテインとマルチビタミンを配合。パンに機能性を持たせたことが健康を気遣う層にフィット、売り上げは好調に推移している。
一方で、「ブランのチョコクリームメロンパン」(税込み130円)をはじめとする菓子系のブランパンにも人気が集まる。「これまではノーマルのブランパンが主戦力だったが、糖質を気にすることなくさまざまな種類のパンを楽しみたいというニーズが増えた」(ローソンTOC大崎店店長の越智かほる子氏)。新商品が続々と登場したことで、“健康重視派”と“嗜好重視派”という両輪でのアプローチが可能になり、多くの消費者を取り込める形になった。
レンチン1回でシメまで完結
弁当コーナーにも新顔が“参戦”した。「鶏・鶏・鶏白湯鍋(玉子雑炊)」(税込み498円)、「豚チゲ鍋(うどん)」(税込み530円)などの「ひとり鍋」だ。容器の上段には野菜や肉の入った鍋料理、下段にはシメの雑炊またはうどんがそれぞれ入って1セットになっている。
チルド商品につき直接火にかける必要がなく、上下を一緒にレンチンするだけで食べられる手軽さが売りだ。「鍋は夕夜間に自宅で食べるもの」という既成概念を取り払い、「ランチにオフィス鍋」も可能になった。昼食需要も取り込むことで、今後、ひとり鍋の市場は伸びるのではと注目される。
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