企業と顧客の間の接点がデジタル化し、かつ多様化するにつれて、マーケティングにおける顧客データの利活用やテクノロジー活用の重要性が高まっている。企業向けにデジタルマーケティングのコンサルティングや支援の動向などを集計・分析しているアンダーワークス(東京・港)が、そうした実態を明らかにする「マーケティングデータ活用実態調査2023年版」を2023年3月22日に発表した。最新のトレンドを解説する。
アンダーワークスが調査して発表した「マーケティングデータ活用実態調査 2023年版」は、2023年で3回目の調査になる。東京証券取引所に上場している278社が回答した。
「マーケティングの成果向上に、データマネジメントはどの程度重要ですか」との問いに対し、「非常に重要である」と回答した企業は前年比5.3ポイントアップの60.3%、「重要である」と回答した企業は前年比3.8ポイントダウンながら27.4%だった。その結果、両者を合わせた「重要」と回答した企業は、前年比2ポイントアップの88%に達しており、企業のマーケティングにデータの利活用が重要であるとの認識は、多くの企業の間で定着してきたといえる。
取り組みは企業間で二極化。業種の差も生じる
一方で、「マーケティングデータの活用・管理に取り組んでいますか」との設問に対しては、22年同様、約半数の企業が「取り組んでいる」と回答する一方で、「未定・予定なし」と答えた企業の数も前年比で大きな変化はなかった。ここからは、マーケティング領域へのデータ活用については、企業の間で取り組み状況の二極化が起きていることがうかがえる。
この取り組み状況を業種別に見てみると、銀行や証券、保険といったフィンテック企業を含む広義の金融業や、製造業における取り組みが増加傾向にあり、商社や流通・小売業では、取り組みは微増にとどまる。その一方で、「扱う商材が実物そのものである建設業や不動産業などでは、マーケティングにデータを活用しようという動きはあまり感じられない」(アンダーワークス執行役員の田口裕氏)。業種によって取り組みに差が生じつつあり、それが積極的に取り組む業種と消極的な業種の明確化という形で、取り組み状況の二極化に影響しているようだ。
データを統合した企業は増えたが利活用ステージに課題
「マーケティングデータの管理・利活用のステージはどれに最も近いですか?」との設問に対しては、「統合基盤に多くのデータを統合済み(ステージ3~6と回答した企業の合計)」と言える企業が23.5%に達し、22年と比べてほぼ横ばいとなった。
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