宇宙ベンチャーの岩谷技研(札幌市)が、「宇宙の民主化」を目指す「OPEN UNIVERSE PROJECT」を発表。パートナー企業の1社としてJTBが参加を表明し、1人2400万円の「宇宙遊覧」サービスの全容を公開した。ガス気球と2人乗りキャビンを組み合わせ、搭乗者が成層圏に滞在し、地上に戻るサービスを23年度内に提供する。搭乗者と社員パイロットの募集は、すでに始まっている。
「2016年ごろからガス気球を使った宇宙旅行を構想し、18年に魚を使った生物実験に成功。20年に有人宇宙遊覧プロジェクトを始動させた」と語るのは、岩谷技研社長の岩谷圭介氏だ。
「宇宙遊覧」は、巨大なガス気球と2人乗りキャビンなどを組み合わせた飛行体を使って、宇宙空間とほぼ同じ環境の高度25~30キロメートルの成層圏に到達。搭乗者は1時間ほど成層圏に滞在し、合計4時間ほどで地上に戻ってくるという、宇宙を舞台にした新しいサービスだ。岩谷技研は23年2月21日、23年度中に1人2400万円で宇宙遊覧サービスの提供を開始すると発表。23年8月31日まで、5人の第1期搭乗者を募集し、23年10月に搭乗者を発表する予定になっている。
岩谷氏は学生時代に航空宇宙工学を専攻し、12年に大きな風船にアクションカムを取り付けて飛ばす宇宙撮影に成功した。その後、一眼レフカメラやシネマカメラなど、撮影機材を変更しながら宇宙撮影を続け、16年に岩谷技研を設立した。20年に第三者割当増資を実施し、大型気球開発や有人飛行装置の開発に事業転換。宇宙撮影で培った知見を活用するなどし、多くの人々が楽しめる宇宙遊覧サービスの事業化に挑戦している。
この記事は会員限定(無料)です。