テレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」および「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のメタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」が2023年3月21日から5月28日までの期間限定で、東京・ダイバーシティ東京プラザ4Fにオープン。先だって行われたメディア向けの店舗内覧会に参加した。

2023年3月21日にオープンするメタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」。メディア向けの店舗内覧会には、左から俳優の中尾暢樹、佐藤流司、声優の竹内順子、三瓶由布子、お笑い芸人のサンシャイン池崎が参加した
2023年3月21日にオープンするメタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」。メディア向けの店舗内覧会には、左から俳優の中尾暢樹、佐藤流司、声優の竹内順子、三瓶由布子、お笑い芸人のサンシャイン池崎が参加した

 同アニメを放送するテレビ東京は、VR(仮想現実)などのデジタルコンテンツを手がけるFive for(東京・港)と協力してメタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」を作り上げた。プレーヤーは、ナルト、サスケ、サクラ、カカシ、イタチ、ボルトといった人気キャラクターたちと共に、「電脳 木ノ葉隠れの里」の世界に飛び込み、仮想空間で忍者の訓練を体験することができる。

 2023年3月1日に行われたお披露目会には、アニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS」でナルト役を演じる竹内順子、ボルト役の三瓶由布子をはじめ、「NARUTO」ファンを公言するサンシャイン池崎、舞台「ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』」に出演しているナルト役の中尾暢樹、サスケ役の佐藤流司が登場。その中から池崎、中尾、佐藤の3人がメタバースアトラクションに挑戦した。

HMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着すると見える映像。かなりリアルで、プレーヤーは没入感を得られる ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ
HMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着すると見える映像。かなりリアルで、プレーヤーは没入感を得られる ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

 入り口となる「あうんの門」をくぐれば、その先は木ノ葉隠れの里だ。中忍による丁寧なレクチャーで遊び方を学んだ後に、HMD(ヘッドマウントディスプレー)とコントローラーを装備して、プレースタート。木ノ葉隠れの里ではターゲットの忍者たちがあちこちから出現するので、プレーヤーは左右の手に持ったコントローラーを駆使し、アニメでもおなじみの忍具「チャクラ刀」や「螺旋丸(らせんがん)」といった技を繰り出して撃退していく。ゲーム終了後にはプレーヤーの評価が発表され、成績に応じた特典を受けることができる。

 VRの世界を歩行する際は、実際に歩くのではなく、軽く膝を曲げて体を上下させるだけ。フィールドには障害物が出現するが、膝を曲げて伸ばせば、ジャンプで飛び越えることができる。体を上下させながら、向きを変えることで方向転換もできるなど、移動や動作は直感的だ。VRの世界はリアルそのもので、池崎、中尾、佐藤は終始エキサイトしながら、アトラクションを存分に楽しんでいた。

ゲーム終了後、池崎はあまりのリアルな映像に「思わず木ノ葉隠れの里にあるラーメン店『一楽』を探してしまった」とコメント
ゲーム終了後、池崎はあまりのリアルな映像に「思わず木ノ葉隠れの里にあるラーメン店『一楽』を探してしまった」とコメント

店舗型施設を作り上げた理由

 NARUTO×BORUTO VRで注目すべき点はHMDの優れた機能だ。センサーによって、HMDが頭の向きや動きを感知するので、実際にはその場で体を上下に動かすだけで、ゲーム内を自由に動き回ることができる。「この技術は特許を取得している」と語るのはFive for取締役の赤田恭子氏。体を動かし続けるので、ゲームを終えたころにはそれなりの疲労を感じるが、運動不足を感じている人にももってこいのアトラクションだと言えるだろう。

 アトラクション内では、登場キャラクター6人のうち、ランダムで選ばれた2人が訓練をサポートしてくれる演出も。ライセンスを所有する集英社、ぴえろ監修の下、キャラクターの関係性を考慮しながら、セリフの内容にも徹底的にこだわったという。Five for社長の谷川高義氏は「若いころのサクラとボルトは同一空間では共存しない。ただ、今回はバーチャル空間の出来事なので、その組み合わせも実現できた。オリジナル作品ではあり得ない会話を楽しむことができる」と語る。

谷川氏によると最もレアな組み合わせは「サスケとイタチ」。16通りの組み合わせが楽しめる。ついつい“推し”のキャラクターが出てくるまで通ってしまいそうだ。 ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ
谷川氏によると最もレアな組み合わせは「サスケとイタチ」。16通りの組み合わせが楽しめる。ついつい“推し”のキャラクターが出てくるまで通ってしまいそうだ。 ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

 さまざまなメディアのニュースで「メタバース」という言葉を見る機会が増えているが、まだまだ「ピンとこない」という人も多いだろう。谷川氏はそんな状況を「打開したい」という思いで、この店舗型の施設を作り上げたという。

 「会場に来て、まずはアトラクションで遊んでいただきながら、デジタルの世界を体験してもらうことが重要だと考えている。技術的にはゲーム性をより高度にすることもできたが、複雑さをそぎ落として、誰もが簡単に楽しめるようなシンプルな内容を目指した。軽減されているとはいえ“VR酔い”など技術的な課題も数多くあるが、逆に言うと、ここからまだまだ進化する余地があるし、さまざまな広がりも見せていけると考えている」(谷川氏)

テレビ東京の竹﨑由佳アナウンサーと冨田有紀アナウンサーがNARUTO×BORUTO VRに挑んだ様子。この映像だけでもかなり白熱できることが分かる

今後は海外展開も視野に

 谷川氏によると着想を得たのは新型コロナウイルス禍に入る3年ほど前。もともと、Five forはインバウンド専用のエンターテインメント施設「VR忍者道場」を手がけていて、それが訪日外国人から好評を博していた。今回はそこで培ったノウハウを生かす形となった。

 NARUTO×BORUTO VRはメタバースアトラクションだけでなく、その会場にも訪れたファンが最大限に楽しめるような仕掛けを施している。例えば、エントランスはテレビ東京の美術部が担当し、原作ファンが満足できるような完成度を目指した。谷川氏は「妥協のない世界観の構築を行った。入り口の門は、これまで作られたどの類似作品よりもクオリティーが高いものになったと自負している」と自信をのぞかせる。

 アトラクションを楽しんだ後は、VRチャクラ刀と螺旋丸を持っての写真撮影もできる。その場で2次元コード(QRコード)が発行されるので、スマートフォンで読み込めば簡単にデータをダウンロードすることが可能。この施設のために制作されたオリジナルグッズも販売される。会場でしか手に入らないアイテムも並ぶので、こちらもファン垂涎(すいぜん)のスポットとなりそうだ。

写真撮影を行う竹内順子。専用の道具を持てば、モニターにVRチャクラ刀と螺旋丸が映し出される
写真撮影を行う竹内順子。専用の道具を持てば、モニターにVRチャクラ刀と螺旋丸が映し出される
上段に並ぶ丼は各500個限定生産とのこと。欲しい人は早めに訪れることをお勧めしたい
上段に並ぶ丼は各500個限定生産とのこと。欲しい人は早めに訪れることをお勧めしたい

 同施設は東京開催を皮切りに、その後は国内のみならず、海外展開も視野に入れる。「世界的な地位をものにしている日本発の人気アニメ『NARUTO』だけに、ポテンシャルは高い。外国人の方はこういった体を動かすゲームにも好反応を示してくれる。いずれはネットを介し自宅から木ノ葉隠れの里に集まることができたら。それこそがメタバースの醍醐味だと考えている」(谷川氏)

 NARUTO×BORUTO VRは、23年5月28日までの限定開催で、営業時間は平日午前11時~午後8時、土日祝は午前10時~午後9時。入場料金は平日が2500円、土日祝および特定期間(3月27日~4月7日までの平日、5月1~2日)が3000円(いずれも税込み)となる。

 対象は満10歳以上、身長130cm以上。小学生は保護者同伴が必須となる。基本的に時間指定の予約制だが、当日空き枠がある場合には当日券を販売する。ただし、体験可能枠数が限られているので、予約してからの来場がお勧めだ。

メタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」の入り口。よく動くことになるので、動きやすい格好で訪れるほうがよさそう
メタバースアトラクション「NARUTO×BORUTO VR」の入り口。よく動くことになるので、動きやすい格好で訪れるほうがよさそう

(写真/中山洋平、写真提供/NARUTO×BORUTO VR)

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