ロート製薬が運営するフレグランスブランド「ベレアラボ」が好調だ。2022年度の販売実績は前年度比で約3倍に着地予定だ。躍進の一因には男性ユーザーの増加が挙げられる。一般的に男性はアロマやフレグランスに疎いイメージがあるなか、ベレアラボはどのようなアプローチで、ターゲット層を拡大したのか。
「フレグランス市場は非常に限定的」
「これまで香水が苦手だった人ほど、当ブランドの商品に興味を持ってくれている。特に男性客からの反応が良く、私たちとしても驚いている」
ロート製薬が運営するフレグランスブランド「ベレアラボ」の星亜香里代表はこう語る。
ロート製薬といえば市販薬や化粧品のイメージが強いが、アロマやフレグランスの分野でも事業を展開している。ベレアラボは2019年にローンチし、「香りで空間と時間の質を変える」をコンセプトに、これまでアロマオイルやフレグランススプレーを販売。23年2月21日には持ち運びタイプのアロマディフューザーを発売した。売り上げは好調で、22年度の販売実績は、21年度の約3倍に着地する予定だ。
製薬会社のロートがベレアラボを立ち上げた理由は大きく2つある。
1つは、「製薬会社として、香りから心身をサポートできる」と考えたからだ。「ロートは製薬会社として、薬で健康をサポートしてきたが、香りからも健康を支えることができると考えていた。あるストレス実験では、天然植物由来抽出成分をベースにした香りを嗅ぐと、ストレスが軽減したり、感情やメンタルなど精神がリラックスすることが確認されている。香りは医薬品ではないので効果効能は明言できないものの、医学レベルの研究・検証に基づいて香りを作っているのは世界的に見ても珍しい。製薬会社として、ウェルビーイングの観点からも香りを通じて人々の健康をサポートしていくべきではと考えた」(星代表)
もう1つは、「日本のフレグランス市場にポテンシャルを感じていた」からだ。「ベレアラボを立ち上げた当時、市場に流通しているフレグランス製品は、日本人の感性に合わないと感じていた。日本人は清潔でナチュラルな感覚を好む傾向にある一方で、市場に流通している香り製品は玄関やトイレで使用する目的の消臭剤や芳香剤、そして海外で作られた香りが大半。そのうえ日本で『香り』といえば、嗜好品としての香水や、セラピー目的でアロマを使用するのが一般的。日本のフレグランス市場は非常に限定されている。そこで日本人の感性に合う香りを開発し、嗜好品以外の用途を提案すれば、これまでフレグランス商品を避けていた人にも手に取ってもらえるはずと予想していた」(星代表)
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