Webベースで法律専門書などをリサーチできるサービス「LEGAL LIBRARY(リーガルライブラリー)」が、好調に有料会員数を伸ばしている。正式版リリース(2019年12月9日)から3カ月後の20年2月末に約1000人だった有料会員は、約3年後の23年1月末に、6倍となる6000人を突破。運営するLegal Technology(東京・千代田)の23年の売上高も3億円を超える見込みだ。好調の背景には、SNS(交流サイト)上のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したブランド価値向上作戦がある。

「LEGAL LIBRARY(リーガルライブラリー)」の有料会員数推移(出所/Legal Technology)。6000人突破は2023年1月末時点。同年2月末には6500人を突破している
「LEGAL LIBRARY(リーガルライブラリー)」の有料会員数推移(出所/Legal Technology)。6000人突破は2023年1月末時点。同年2月末には6500人を突破している

 「サービス開始当初は個人の弁護士の利用が多かったが、新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、弁護士事務所の利用に加え、一般企業の法務部や知的財産管理部門などの利用が増え、有料会員数が右肩上がりで順調に伸びている」

 Legal Technologyの創業者でCEO(最高経営責任者)を務める二木康晴氏はこう語る。

 Legal Technologyが運営するリーガルライブラリーとは、サービスにログインした有料会員が「探したいキーワード」をWebブラウザー上で入力すると、有斐閣や中央経済社など複数の出版社から提供を受けてデータベース化した法律専門書などの中から、そのキーワードを解説した該当ページを探し出し、表示するサービス。料金は個人有料会員で月額5200円(税別)。法律専門書や官公庁が作成した各種公開資料など約1500点、約20万ページを横断的に検索・閲覧できる。

良書の品ぞろえと充実した機能が会員をひき付けた

 20年2月末に約1000人だった有料会員は、約3年後の23年1月末に、6倍となる6000人を突破した。好調の主因は、「法律専門家からのニーズが高い良書をそろえ続けている」(二木氏)ことと、法律の実務家にとって使いやすい充実した機能を盛り込んでいる点にある。

 例えば、「書式ダウンロード機能」を使えば、会員は法律書の中で用いられている書式を「ワード」に変換してダウンロードし、そのまま利用することができる。また、「類似文書検索機能」は、会員が現在、閲覧している書籍のページを「自然言語処理によりベクトル化する」(二木氏)ことで、収録済みの書籍・資料の中から似たベクトル値を持つ類似のページを複数、画面上に表示するもの。単なる語句の一致ではなく、書かれている内容の文脈が類似していて、かつ書籍ではなくページ単位で読み出せるのが特徴だ。いずれも「『使いやすい』と法律の実務家からの評価が高い」(二木氏)と言う。

プッシュセールスは禁じ、解約は止めない

 リーガルライブラリーが成長を続けている理由は実はそれだけではない。そのマーケティング手法にも特徴がある。具体的には、利用者の多くがTwitterなどのSNS上に投稿したりリツイートしたりした「リーガルライブラリーの優れた点」などを、UGC(ユーザー生成コンテンツ)として活用する。拡散したUGCによる評判の高さを使って、自社のブランド価値を高めているのだ。

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