三洋化成工業の子会社であるサンノプコ(京都市)は、木くずを粉状(木粉)にして植物由来のポリウレタン樹脂に配合し、革の質感を再現する「Wood Leather」を開発。2023年末を目標に発売することを明らかにした。一般社団法人 日本ウッドデザイン協会(東京・港)の「ウッドデザイン賞2022」の「ライフスタイルデザイン部門 技術・建材分野 奨励賞(審査委員長賞)」を受賞している。

サンノプコが開発した「Wood Leather」の試作品。スギやヒノキなどの木くずを使っており、木の自然な色や香りを生かしている。黒を出すため、備長炭を混ぜた。材料を変えることで、いろいろな色や味わいを出せる
サンノプコが開発した「Wood Leather」の試作品。スギやヒノキなどの木くずを使っており、木の自然な色や香りを生かしている。黒を出すため、備長炭を混ぜた。材料を変えることで、いろいろな色や味わいを出せる

 「Wood Leather」は、植物由来の原料を一部に使用する、いわゆる「ビーガンレザー」の一種。石油由来原料の使用量削減のほかに動物愛護も目指したエシカル(倫理的)なレザーとして、リンゴやキノコ、野菜、トウモロコシといったさまざまな原料を生かしたビーガンレザーが最近、登場している。

 サンノプコは紙・パルプ、セラミックス、エレクトロニクスといった分野向けに、泡の発生を抑える消泡剤や、粒子を液体中に均一にする分散剤などを製造・販売する化学品メーカー。ポリウレタン樹脂の開発も手がけており、今回は建築資材の製材過程で発生する木くずに注目。新しいビーガンレザーとしてWood Leatherの製品化を思いついた。

 革に比べて放湿/吸湿性や消臭性、耐摩耗性に優れるといった特徴があるほか、製造時のCO2排出量の削減につながる。廃棄木材を使うため資源のアップサイクルにもなる。

 ウッドデザイン賞2022の審査では「Wood Leatherは木材を使用したエシカル製品の開発に寄与する独創性の高い技術提案であり、その質感が驚くほどこれまでの革に近い。皮革製品と比較した場合の木材由来の特性も、雑貨や日用品での活用の幅を広げるだろう」と評価されている。

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