23年2月22日、アサヒビール社長交代会見が行われた。場所は帝国ホテル 東京の孔雀西の間。晴れの舞台で決意を新たにしたのが、現マーケティング本部長の松山一雄氏だ。マーケター出身の同氏はアサヒビールで何を目指すのか。会見の内容をお伝えする。
「お客様にとって世界で一番魅力的で、ワクワクするビール会社になる」。2018年、松山氏がアサヒビールに入社した時から全く変えていないビジョンだ。2月22日に行われた社長交代会見でも、この言葉が決意表明として最初に発せられた。
松山氏は、日経クロストレンドが何度も取材し、取り上げてきた人物。P&Gなどでマーケティングの研鑽(けんさん)を積み、サトーホールディングスでは経営者も経験。プロマーケターでありながら経営経験もあるということで、アサヒビールのトップとして白羽の矢が立った。
松山氏は、ビール業界の構造やシェア争いについて、会見で率直かつ辛辣な思いを語った。「アサヒビールに入社する前、ビールやお酒を愛するごく普通の消費者として、日本のビール業界に感じていた微妙な思いがあった。日本のビールはどれも本当にうまい。でも味もパッケージも飲用シーンもどれも似たり寄ったりで、あんまり面白くない。市場が縮小しているのにシェア競争ばかりしていて、消費者から見るとイノベーションがあまり起きない退屈な市場かもしれない。世界に誇れる技術や素晴らしいポテンシャルがあるのに、何てもったいない業界なんだろうと率直に感じていた」。
この流れを徐々に変えようとしていたのが、塩澤賢一現社長だ。本数を売って規模を拡大する「ボリューム」から、顧客にとって特別な価値や体験を創造する「バリュー」へ。松山氏はこの流れを継承し、バリュー経営をさらに加速する構えだ。冒頭の「世界で一番魅力的で、ワクワクするビール会社」を実現するための、「5つの重点領域」を松山氏は披露した。
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