23年2月22日、アサヒビール社長交代会見が行われた。場所は帝国ホテル 東京の孔雀西の間。晴れの舞台で決意を新たにしたのが、現マーケティング本部長の松山一雄氏だ。マーケター出身の同氏はアサヒビールで何を目指すのか。会見の内容をお伝えする。

23年3月16日付でアサヒビール社長に就任する松山一雄氏。鹿島建設、サトー(現・サトーホールディングス)を経て、93年に現・P&Gジャパン入社。2011~18年にはサトーHD社長を務めた。18年、アサヒビールに入社し、マーケティング本部長を歴任
23年3月16日付でアサヒビール社長に就任する松山一雄氏。鹿島建設、サトー(現・サトーホールディングス)を経て、93年に現・P&Gジャパン入社。2011~18年にはサトーHD社長を務めた。18年、アサヒビールに入社し、現在はマーケティング本部長

 「お客様にとって世界で一番魅力的で、ワクワクするビール会社になる」。2018年、松山氏がアサヒビールに入社した時から全く変えていないビジョンだ。2月22日に行われた社長交代会見でも、この言葉が決意表明として最初に発せられた。

 松山氏は、日経クロストレンドが何度も取材し、取り上げてきた人物。P&Gなどでマーケティングの研鑽(けんさん)を積み、サトーホールディングスでは経営者も経験。プロマーケターでありながら経営経験もあるということで、アサヒビールのトップとして白羽の矢が立った。

 松山氏は、ビール業界の構造やシェア争いについて、会見で率直かつ辛辣な思いを語った。「アサヒビールに入社する前、ビールやお酒を愛するごく普通の消費者として、日本のビール業界に感じていた微妙な思いがあった。日本のビールはどれも本当にうまい。でも味もパッケージも飲用シーンもどれも似たり寄ったりで、あんまり面白くない。市場が縮小しているのにシェア競争ばかりしていて、消費者から見るとイノベーションがあまり起きない退屈な市場かもしれない。世界に誇れる技術や素晴らしいポテンシャルがあるのに、何てもったいない業界なんだろうと率直に感じていた」。

 この流れを徐々に変えようとしていたのが、塩澤賢一現社長だ。本数を売って規模を拡大する「ボリューム」から、顧客にとって特別な価値や体験を創造する「バリュー」へ。松山氏はこの流れを継承し、バリュー経営をさらに加速する構えだ。冒頭の「世界で一番魅力的で、ワクワクするビール会社」を実現するための、「5つの重点領域」を松山氏は披露した。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
30
この記事をいいね!する