カシオ計算機の電子ピアノ「Privia(プリヴィア)」の新製品「PX-S7000」が好評だ。特徴の1つが、従来のスタンド・ペダル一体型電子ピアノとは一線を画すスタイリッシュなデザイン。デジタル技術を活用した開発プロセスによって実現した。
PX-S7000の開発は、「より多くの人にピアノを楽しんでもらうために、ピアノの演奏スキルがあるのに今は演奏する習慣がない“ピアノ休眠層”に着目したところからスタートした」。技術本部デザイン開発統括部アドバンスデザイン室リーダーの中村周平氏はこう語る。
「Style, Reimagined(スタイル、再考)」をコンセプトとし、「ピアノのあるライフスタイル」の再定義を目指した。そこで、多くの国籍の人々が暮らす英国ロンドンで市場調査をすると、「ピアノが部屋のインテリアに合わない」「家族や友人と気軽に演奏したいのに、壁に向かって演奏する孤独なイメージがある」といった声が挙がった。これらの声をベースにデザイン開発が始まった。
デザイン性と強度を両立できた理由
デザインのポイントは3つ。1つは、どんな部屋にも調和するミニマルでスリムなデザインであること。2つ目は、360度どこから見ても美しいフォルム。
「ペダル付きモデルは一般に箱形をしていて、そのため壁際に設置されがち。四つ脚スタンドにすれば、軽やかで“抜け感”があって視界を遮らず、生活空間に取り入れやすくなる。ピアノを壁際から解放して、コミュニケーションの輪の中心にピアノがある暮らしが可能になる」(中村氏)
3つ目は、ユニークなCMF(Color、Material、Finish)。本体カラーはハーモニアスマスタード、ブラック、ホワイトの3色をラインアップした。
「ハーモニアスマスタードはピアノらしからぬイエロー系だが、グランドピアノと同じ外装面の艶(つや)を出すポリッシュ仕上げを施し、インテリア性を高めた」(中村氏)
ほかにも本体背面に据えたスピーカー部分を生地で覆い、四つ脚スタンドは木目にするなど、居住空間のインテリアになじむCMFが随所に施されている。
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