スニーカーなどファッションブランドを世界的に展開するオニツカタイガーカンパニー(東京・渋谷)は、サボテン由来の新素材「DESSERTO」を代替レザーとして用いたシューズ「MEXICO 66 CACTFUL」を発表。一方、ナイロンやポリエステルなどを扱う化学素材メーカーの小松マテーレは、「規格外野菜を使用した天然色レザー」を開発。エコ素材が次々に登場している。
オニツカタイガーの新素材DESSERTOは、メキシコのAdrian and Marte(エイドリアン・アンド・マルテ)の技術者と共同開発。サステナブル(持続可能)な製品を実現できたほか、これまでのレザーでは難しい独自の5色を生み出せた。
MEXICO 66 CACTFULは、ブランドを代表するシューズ「MEXICO 66」のアッパー部分に新素材を採用した製品。「CACTFUL GREEN」「CACTFUL BLUE」「CACTFUL PURPLE」「CACTFUL YELLOW」「CACTFUL WHITE」の5色がある。2023年4月以降に発売することを明らかにした。
独自の風合いを備えるほか、サイズなどで異なるが、MEXICO 66より約10%軽い製品もある。価格は1万6500円(税込み)と、MEXICO 66の公式オンラインストア価格の1万3200円(同)よりやや高めだが、従来のレザーによる製造過程と比べて二酸化炭素排出量を約80%削減できた。インナーソールやシューレースなどにもリサイクル素材を採用し、環境負荷の低減に努めた。
「1968年メキシコシティーオリンピック」で日本選手団が着用したシューズが、MEXICO 66のモデル名やデザインのルーツにある。そこでブランディングを推進するに当たり、メキシコの国旗に描かれ、メキシコを象徴する植物とされるサボテンに着目。サボテンでさまざまな新素材を開発しているエイドリアン・アンド・マルテの技術と出合った。環境負荷の低減に加え、さまざまな色が付けられる点も魅力だったという。
当初は2023年1月に発売予定だったが、22年10月に開催した製品発表会などで実際に着用した人々から多くの意見が出てきた。それらをフィードバックして改良するため、発売時期を遅らせた。今後は全世界に5色合計で1万足を発売する計画。通常は1モデルで3000から5000足を販売する同ブランドにとって、強気の姿勢に見える。
サボテンだからこその色
開発がスタートしたのは21年10月。エイドリアン・アンド・マルテに直接、連絡したという。共同開発で苦労した点は、新型コロナ禍のためにメキシコに行けず、リモートだけでやり取りしたことだった。
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