デザインの国際団体 World Design Organization(WDO)による「World Design Assembly/世界デザイン会議東京2023」(以下、世界デザイン会議)が、いよいよ2023年10月に東京で開催される。日本での開催は1973年の京都市、89年の名古屋市以来34年ぶり。シンボルとなるロゴマークも出来上がった。実行委員長の田中一雄氏に現在の状況などを聞いた。
――2023年が明け、今年はいよいよ「世界デザイン会議東京2023」の開催年となりました。
田中一雄氏(以下、田中) 2023年というのは、単に22が23になったというだけではなく、20年から続く新型コロナ禍がおそらく収束するであろう、あるいはたとえ終わらなくとも共存できるものに変質し、ウィズコロナが常態化する世界になる年でしょう。世界デザイン会議も前回はオンライン開催となったため、今回は久々にリアルに人が集まる会議となります。新型コロナ禍の中で世界のデジタル化は急速に進み、人と人との関係が大きく変わってきています。それが人間にどういった影響を及ぼすのかをデザイン会議でも注目したいと思います。
World Design Assembly 実行委員長
そこで世界デザイン会議のキーノートスピーチでは、人類学者のティム・インゴルド氏に、人類はこれからどう変わっていくのかについて話してもらいます。23年は次の時代の始まりであり、ポストコロナ社会の始まりでもある。世界デザイン会議もそうしたスタンスで23年に臨みたいと考えています。
今回、会議全体のテーマは「DESIGN BEYOND」ですから、コロナ以前からコロナ以後にビヨンド(超える)することでデザインの意味が変わる。デジタル化により人と人との関係性が変化する中でデザインに何ができるのかを考えていきたいですね。
もう1つ、注目していることは地球環境の変化です。ずっと言われてきていることにもかかわらず、どんどん取り返しのつかないところに向かっているのではないでしょうか。これに対してデザインはどう取り組むべきか。科学的な発明や新しい法律をつくることはできないけれども、デザインには与件提示力があります。何を発明すべきか、何を法制化すべきかというアイデアはデザインから生まれる。そうした力が次の時代を変えていくのではないでしょうか。
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