3Dプリンターを駆使して建築する住宅が話題を集めている。高島屋が福袋の目玉企画として限定1棟で販売した3Dプリンターハウス福袋には、数十件の応募が舞い込んだ。人気の要因は330万円(税込み)という破格の安さ。開発元は住宅問題の解決を目指すスタートアップだ。安さの理由を聞いた。

高島屋が福袋の目玉企画として販売した「3Dプリンターハウス」。開発元は2018年創業のセレンディクス
高島屋が福袋の目玉企画として販売した「3Dプリンターハウス」。開発元は2018年創業のセレンディクス

高島屋が福袋で販売を決めた理由

 年明けの風物詩といえば福袋。初売りの時期に、百貨店やスーパーマーケット、アパレルブランドなどが、商材を詰め合わせて手ごろな価格で販売する催しだ。そんななか高島屋が、3Dプリンターを駆使して建てる「Sphere(スフィア)3D プリンターハウス 福袋」(以下、3Dプリンターハウス福袋)を販売した。

 価格は土地別で330万円(税込み)、広さは約10平方メートル。鉄筋コンクリート造で、断熱性能はヨーロッパ基準を、耐震性能は日本基準をクリアしている。水回りやキッチン、バス・トイレがないため、高島屋は“住宅”ではなく“ハウス(小屋)”という表記で販売したものの、人がある程度生活できる建築物として機能している。

 住宅金融支援機構が2020年に行った調査によると、土地を取得済みで注文住宅を建てる場合、建築費用は平均3534万円となった。広さやスペックが異なる建築物を単純に比較することはできないが、高島屋の福袋で販売された3Dプリンターハウスの価格は相場の10分の1程度となる。そのうえ24時間以内で施工できるため、工事費用や人件費も抑えられる。

 高島屋の企画宣伝部の担当者によれば、3Dプリンターハウス福袋には「世間でまだ浸透していないプレミア感のある製品を手に入れられる」という特別感を込めたという。通常の福袋は中身が見えない状態で衣類や食料品を選ぶワクワク感が醍醐味だが、3Dプリンターハウス福袋は「ユーザーの夢を叶える」という思いから販売した。

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