2023年1月、ソニーグループとホンダの共同出資会社、ソニー・ホンダモビリティが新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を発表した。合わせて披露したプロトタイプは、シンプルなスタイリングのEV(電気自動車)だ。多くの興味、関心を集めた今回の発表をけん引したのが、プロダクトデザインに加え、企業パーパスやブランド戦略の策定を含む社内のあらゆるクリエイティブを手掛けるデザイン&ブランド戦略部だ。

ソニー・ホンダモビリティが発表した新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプ。両端まで広がるパノラミックスクリーンや独自設計のステアリングを採用した
ソニー・ホンダモビリティが発表した新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプ。両端まで広がるパノラミックスクリーンや独自設計のステアリングを採用した

 「Media Barは、ブランドを表すと同時に、人とモビリティがコミュニケーションするツールでもある」と言うのは、ソニー・ホンダモビリティのデザイン&ブランド戦略部のトップを務める、ソニーグループのクリエイティブセンターのセンター長、石井大輔氏だ。「例えば、駐車して充電中にバッテリー状況を示すなど、ドライバーに対してだけにとどまらない実用的な使い方も考えられる」と語る。

 プロトタイプのフロントにあるMedia Barには「AFEELA」の文字が見えるが、「ブランドロゴも、必ずしも固定する必要はない」と考える。「ロゴやシンボルを自分好みに変えるカスタマイズも検討している」(石井氏)

フロントグリル部分には、表示や色が変化して人とモビリティがコミュニケーションする「Media Bar」を搭載
フロントグリル部分には、表示や色が変化して人とモビリティがコミュニケーションする「Media Bar」を搭載

ブランド戦略も一貫してデザイン

 デザイン&ブランド戦略部は、同社の車両デザインだけでなく、コミュニケーションやブランド戦略策定なども担当している。2022年10月の会社設立時から、経営層と「企業としてどうあるべきか?」「どんな価値を提供していきたいか?」といった議論を重ねてきた。石井氏は、「ブランド戦略まで一貫して手掛けることで、今回の、車両デザインからプロトタイプ開発、CESでのプレゼンテーションまで、これまでにないスピード感で推進できた」と振り返る。

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