「プラダ」「グッチ」などイタリアを代表するハイブランドが加盟する業界団体アルタガンマ財団が2022年10月、「NEXT DESIGN PERSPECTIVES(ネクスト・デザイン・パースペクティブス)」をイタリアデザインの中心都市ミラノで開催した。新型コロナ禍を挟んで3回目となる今回のコンセプトは、“DESIGN IN FLUX=流動の中のデザイン”。リポートの後編では、デザインと自然科学、循環経済など注目のテーマで講演した5人にフォーカス。

▼前編はこちら ミラノ発、第3回「NEXT DESIGN PERSPECTIVES」現地リポート

自然からインスピレーションを得たアートたち

 オランダ人アーティストのロンク・ゴルデイン氏が手がける作品はすべて、思いがけず自然から受けた感動を人々と分かち合いたいという思いから始まっている。彼女は自分の作品をこう説明する。「ある夏、私は友人たちとヨットに乗っていました。そしてある瞬間に湧き上がるような幸せを感じたのです。そして思ったのです、なぜ今なのか、なぜ昨日ではなく、今朝ではなく、今なのか。そしてそれは、そのときの風、波、ヨットの揺れ、そして自分が一体になっているからだと気づきました。その後につくったのが、揺らぐ作品の一つである『アンプリチュード(Amplitude)』です」

 そして「飛ぶ光(Flylight)」については「あるとき、数え切れない数の鳥の大群が一体となって大空を飛んでいるのを見ました。彼らは指示するものなしに、美しい表情を空に大きく描きながら飛行を続けているのです。その印象から創作を始めました」と語る。

 ゴルデイン氏は印象を形にするのみならず、その作品に無言のメッセージを込める。例えば、タンポポの光をイメージした作品「壊れやすい未来(Fragile Future)」では、「何年にもわたり野生のタンポポを採取して、作品をつくりました」と語る。「タンポポは私にたくさんのことを教えてくれました。種子は自分ではどこへ着地するか分からなくても、着地したところをすみかとして、花を咲かせ、また種子をつくるのです」

 そして大きなブロックの作品「漂流者(Drifter)」については、「単なるブロックでも、浮かんでいることで生きもののような親近感を感じ、それが揺れるとなおさら自分とコネクトする。そしてコネクトすると私たちは、それをケアしたくなるのです」と言う。

 オランダに生まれ、2007年からアムステルダムを拠点にラルフ・ノウタ氏と組んでスタジオ「ドリフト」を立ち上げた。現在では64人のさまざまな分野のスタッフと共に、実験的な彫刻やインスタレーションをつくる。

 彼らの作品は人生とは何かと私たちに問いかけ、前向きなシナリオを広げる。作品には空間を変える力があり、空間が変わると空気が変わり、そこにいる人々の気持ちも変わることを教えてくれる。

 作品は各地の美術館やギャラリーで見ることができるが、美術の展示空間よりむしろ公共の場や建築の中でより作品が機能するのではないかとゴルデイン氏は言う。確かに、自然とつながりのあるテクノロジー作品が日常に入り込むとき、それらはより親しみを増し、私たちに自然や未来について深く遠く、何かを語りかけてくる。

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(壇上のロンク・ゴルデイン氏以外の写真提供/DRIFT)

アートで伝統とテクノロジーの間にあるものを表現する

 今、最も注目されるアーティストの一人、クアヨラ氏は、独自に開発したさまざまな装置を駆使して作品を生み出す。「テクノロジーによって、私たちは以前とは違うビジョンを持つことができるようになりました」

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