今回は、書籍『プライシングの技法』で取り上げた価格設定のケーススタディーに一緒に取り組んでみたい。企業内のデータや顧客調査の結果などを活用すれば科学的なアプローチも可能だが、今回はそのような情報は使っていない。あくまで読み物として楽しめるように書いているので、難しいことは抜きにして頭の体操のような感覚でプライシング業務を疑似体験していただければ幸いである。

日経BOOKプラス 2022年12月20日付の記事を転載

ケーススタディー:シェアリングの利用料金を考える

 最近、都内でエメラルドグリーンの電動キックボードに乗って颯爽(さっそう)と移動する若者をよく見るようになった。機体にはLUUPというブランドロゴが書かれている。2018年に渋谷区で創業された株式会社Luupが提供するシェアリングサービスである。

「街じゅうを駅前化するインフラをつくる」というミッションのもと、電動アシスト自転車や電動キックボードなどのマイクロモビリティのシェアリングサービスを展開。将来的には高齢者も乗れる新しいモビリティを導入し、すべての人が自由に移動できる未来を目指しているという。

 2020年に電動アシスト自転車、2021年に電動キックボードのシェアリングを都内でスタート。現在は大阪、京都、横浜でもサービスをローンチしている。機体は電動キックボードが主流のようである。

 利用の仕方は実にシンプル。アプリから出発地と目的地のポートを選ぶだけである。電動キックボードの最高時速は15キロメートルで、歩くのには少し遠い距離の移動であったり、公共交通機関を使いたくないときに便利だ。小型特殊自動車扱いのため乗車には普通自動車免許や普通二輪免許が必要で、ナンバープレートも装着されている。

 そんなLUUPの利用料金はどんなアプローチで決めるべきだろうか。皆さんにもいったんここで考えていただきたい。

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