カナダ発のアスレチックウエアブランド・ルルレモンは2022年11月25日、国内8店舗目となる「ルルレモン青山」をオープンした。カルチャーや流行の発信地である東京・青山で、地域に根ざしたコミュニティーとともにより良い生活、暮らしを意味する「ウェルビーイング」の発信を行っていく。

2022年11月25日に国内8店舗目となる「ルルレモン青山」をオープンした。2階のルーフトップスペースが特徴的だ
2022年11月25日に国内8店舗目となる「ルルレモン青山」をオープンした。2階のルーフトップスペースが特徴的だ

 ルルレモン青山は地上2階建ての路面店で、国内8店舗目となる。通常、ルルレモンの店舗デザインやコンセプトは「グローバルデザインコンセプト」と呼ばれる世界共通の設計様式が用いられるが、青山店ではコンセプト設計から考えられており、独自のストアデザインとなっている。

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 「これまで日本のルルレモンは、海外からの観光客に頼りすぎていた部分があった。新型コロナウイルス禍で観光客が激減し、これから日本市場をどうするのかしっかり見つめ直すことができた」と、ルルレモン ジャパンでリージョナルマネジャーを務めるケイト・デ・アヨラ氏は話す。日本市場は同社でも重要拠点の1つで、青山店ではこれまで以上にローカライズした店舗作りを行ったという。

 1階はヨガウエアなど、アクティビティーに関する商品を日常使いできるようなカジュアルライン「On The Move(OTM)」が並ぶ。日本ではスポーツをするときや出かけるとき、仕事のときなど用途に合わせて服装を変えることが多い。コロナ禍でリモートワークが増え、スーツではなくスウェットなどカジュアルな格好で仕事をする人も増えただろう。レギンスにオーバーサイズのトップスを着たコーディネートのマネキンを設置するなど、通勤や友人との外出といった日常使いと、ジムなどでのアクティビティー活動を兼用できるコーデを提案している。「海外ではこういった展示はしておらず、日本特有の取り組みだ」(ケイト氏)

 また、デュアルジェンダーへのアプローチも特徴的だ。男性の顧客や性別を問わず好きなものを着る顧客が増えていることから、メンズとレディースを明確に分けず、同じフロアで扱う。「北米では男女でフロアを分けている店舗がほとんど。そのコンセプトをそのまま持ってくるのではなく、日本の方々に訴えかけるようなアプローチをしていきたい」と、ケイト氏は話す。

ヨガで使用するレギンスを使って日常使いのコーディネートをマネキンで提案
ヨガで使用するレギンスを使って日常使いのコーディネートをマネキンで提案
さまざまなレギンスが並ぶ。素材感や締め付け感を比べることができる。一番人気の「アラインパンツ」(写真左端)は女性用しか展開がないが、男性にも愛用されているという
さまざまなレギンスが並ぶ。素材感や締め付け感を比べることができる。一番人気の「アラインパンツ」(写真左端)は女性用しか展開がないが、男性にも愛用されているという

 2階はヨガやランニング、トレーニングなどのウエアが充実。国内店舗で初めてルーフトップ(屋上)を設け、イベントやワークショップの開催を予定している。オープニング期間は、ヨガやランニングのイベントを開催し、「ストアアンバサダー」が講師を務めた。

40平方メートルの広いルーフトップ
40平方メートルの広いルーフトップ

 ストアアンバサダーは、店舗ごとに契約を結んでおり、ヨガやマインドフルネスなどの講師がいる。契約している店舗を中心に、イベントに出演したり、ローカルコミュニティーの形成に寄与したりしている。これまで原宿店のアンバサダーを3年務め、立ち上げを機に青山店のアンバサダーに就任した日本式アーユルヴェーダの講師・岡清華氏は「アンバサダー活動は(ルルレモンと自分自身が)互いに刺激し合い、高め合える。アンバサダー同士の交流もあり、自分だけではできなかった活動ができている」と語る。

 今後も国内に店舗拡大を進めていく方針で、「まずは東京が鍵となる。その後、大阪など主要都市を中心に拡大していく」(ケイト氏)。海外では店舗を中心とした地域に根ざしたコミュニティーを形成してきたルルレモン。コロナ禍で少しずつウェルビーイングへの意識が高まってきた日本で、愛されるブランドとなれるか。

(写真提供/ルルレモン)

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