クルマの月額制サブスクリプション(定額課金)サービスを展開するKINTO(キント、名古屋市)は、新サービス「KINTO Unlimited(キント アンリミテッド)」を今冬の新型プリウス発売に合わせて開始する。新サービスでは月額利用料が10%ほど引き下げられる見込みだ。

KINTOの新サービス「KINTO Unlimited」では、月額利用料が従来料金より10%ほど安くなる
KINTOの新サービス「KINTO Unlimited」では、月額利用料が従来料金より10%ほど安くなる

 KINTO Unlimitedは、納車後の「進化=アップグレード」と「見守り=コネクテッド」を従来のサービスに加えたもの。キントの言う「進化」とは、センサーによる衝突被害軽減ブレーキをはじめとする「Toyota Safety Sense(トヨタ・セーフティー・センス)」の更新やブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターといった装備の“後付け”対応のことだ。装備のアップグレードについては2023年の年央を予定している。

 「見守り」では、コネクテッドサービス「T-Connect(ティー・コネクト)」を通じて収集した運転データを収集・分析することにより、安全運転や燃費向上につながる装備および機能のアップグレードを、専用アプリを通じて顧客ごとに提案するという。

 例えばエンジンオイルやブレーキパッドは一定の期間・走行距離に応じて交換していたが、車両ごとの劣化状況に応じた提案が可能になる。キントではエンジンオイル交換の提案から始め、順次、メニューを拡充していく予定。また専用アプリの提供開始は23年2月をめどとしている。

「コネクティッドドライブトレーナー」による安全運転のアドバイスのイメージ
「コネクティッドドライブトレーナー」による安全運転のアドバイスのイメージ
「コネクティッドカーケア」によるエンジンオイル交換の提案イメージ
「コネクティッドカーケア」によるエンジンオイル交換の提案イメージ

 新サービスのユーザーメリットは、常に最新の状態のクルマに乗り続けられることと、月額料金が10%ほど安くなること。従来、車両価値は納車後に下がっていく一方だったが、アップグレードを繰り返すことで、サブスク終了後に返却された車両を中古車として再販するときの価格を維持できるようになる。その価格差の分を充当することで月額利用料を引き下げるというのが新サービスの特徴だ。アップグレードにかかる実費については施工時に一括で支払う方法と、月額料金に加算する方法を選択できる。

車両返却時の車両価値の差額を月額利用料に充当することで10%程度の値下げを可能にした
車両返却時の車両価値の差額を月額利用料に充当することで10%程度の値下げを可能にした

 各種装備の“後付け”に対応するため、トヨタ自動車では今冬の発売を予定している新型プリウスの一部グレードに「アップグレードレディ設計」を採用した。これは、各種装備のアップグレードに必要となる、インストルメントパネルやシートの取り外しといった大掛かりな作業を省略できる状態の車両を製造することにより、施工作業の簡素化を図るもの。例えばブラインドスポットモニターの場合、従来は13時間かかっていた作業を3時間程度に短縮できるという。

 アップグレードレディ設計は、施工作業のコスト削減につながるだけでなく、作業スペース・設備などの事情で従来は対応できなかった店舗でのアップグレードも可能にする。顧客にとっては近隣の店舗で利用できるようになる点がメリットだ。

 キントの小寺信也社長は「KINTO Unlimitedは、お客さまとつながり、クルマを管理するサブスクだからこそ実現できる仕組み。新しい価値を加えることで月額利用料が値上がりすると心配するのが一般的な感覚だと思うが、むしろ値下げにつなげるのが新サービスの真骨頂」と胸を張る。

 新型プリウスのグレード体系の詳細は今冬の発売時に公表する予定で、その際にKINTO Unlimitedの月額利用料も発表するとのこと。その後は利用者からの反響などを踏まえて、プリウス以外の車種にもアップグレードレディ設計を採用し、サービスを拡大していくという。

(写真提供/トヨタ自動車、KINTO)

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