花王が2022年12月に、Z世代向けのメンズコスメブランド「UNLICS(アンリクス)」を新たにローンチした。Z世代の男性の化粧品購入率が伸長している背景をくみ、4品目12品種を展開する。現時点ではEC限定で販売予定だが、将来的にはグローバルに展開し年間50億円の売り上げを計画している。
「化粧は髪形や服装を変えるのと一緒」
花王はメンズコスメブランド「UNLICS(アンリクス)」から、2022年12月1日に4色の化粧下地と化粧水を、23年1月12日に5種の美容液とタオル状マスクを発売する。販路はUNLICS公式オンラインショップとアマゾン、楽天のECに絞り、デジタルネーティブのZ世代に合わせた販促を行う。
近年、若い世代を中心に化粧品の購入額は増加傾向にある。花王の22年1月の調査によれば、10~20代の男性における、17年から21年にかけての平均伸長率は17%にのぼる。スキンケアだけでなくベースメイクなどにも手を出す人が増えている。
花王 化粧品事業部門 商品開発担当の宮尾健吾氏は、Z世代の男性の美意識について「Z世代の男子は美容への意識が高く、身だしなみを超えて『美しくなりたい』という欲望が強い。メイクやスキンケアをすることで新しい自分になれると思う快感や、他人からきれいと言われることで自信が持てる感覚など、純粋に美を楽しみたいと思っている傾向にある」と説明する。
続けて宮尾氏は、UNLICSを開発したきっかけをこう語る。
「ある社員が新入社員の頃、昼休みにメイク直しをしていた時、鏡越しにたくさんの視線を感じた。男性がメイクをしていることに対して好奇の目を向けている人が今でも多く、なぜ見た目をきれいにして良い気分になることが特別視されないといけないのかと感じたという。メイクをすることは髪形を変えたり、自分の好きな服を着たりすることと全く同じはず。男性が堂々と化粧をできるよう、純粋に美を楽しめるようなブランドをつくりたいと考えた」
宮尾氏の疑問をきっかけに、約2年の開発期間をかけてUNLICSは完成した。ブランド名は「UNLIMITED(限りない)」と「CURIOSITY(好奇心)」を組み合わせたもので、誰もが好奇心の赴くままに美を求められる世の中を目指す。スローガンは「HUNGRY FOR BEAUTY.(欲望のままに美しく)」と題し、欲望のままに美を追求する男性を応援するという意味を込めた。
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