2022年11月4日、デジタルガレージが主催するグローバルカンファレンス「THE NEW CONTEXT CONFERENCE TOKYO 2022 Fall」が開催。web3が都市や文化にどのような影響を与えるのかについて議論された。web3デジタルアーティストのPplpleasr(ピープルプリザー)氏をはじめ、東京芸術大学准教授でありアーティストでもあるスプツニ子!氏や渋谷区長の長谷部健氏も交え、web3の可能性について多くのアイデアが飛び出した。渋谷区はweb3特区を目指し、国と交渉中だという。また、自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也氏は、web3の規制緩和に積極的に取り組むと語った。
Pplpleasr氏は、web3の世界で活躍するデジタルアーティストだ。FortuneやVogueの表紙を飾り、今年のForbes 30 Under 30に選ばれるなど、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)分野で影響力のある人物として注目を集める。そんなPplpleasr氏が立ち上げたのが、NFTを使った映画配給プラットフォーム「SHIBUYA(渋谷)」だ。
「『SHIBUYA』は、長編コンテンツの資金調達や製作の方法を変えることを目指す、分散型プラットフォームだ。視聴者は『プロデューサーパス』というNFTを購入することで、作品の分割所有権を証明するトークンが得られる。さらには、ストーリー展開の方向性を決める投票に参加でき、エンドロールにプロデューサーとしてクレジットされる」
こうした仕組みを通して、すでに140万ドル(日本円で約1億9000万円)の資金を獲得したという。これをもとに作成したのが「ホワイトラビット(白ウサギ)」という短編アニメーションだ。現在、チャプター2まで製作されており、視聴者はチャプターごとにNFTを持つことができる。
「コミュニティーによる作品の所有こそがweb3の未来だ。コミュニティーはプロジェクトの方向性に関与し、参加することで報酬が得られる。アーティストが作品を作るための、新たな仕組みになる可能性がある」とPplpleasr氏は語る。
自身も映像作品を製作するアーティストであるスプツニ子!氏は、これらの取り組みを次のように評価する。
「私はWeb2.0時代にデビューし、YouTubeやSNSで拡散され、コミュニティーが作られていった体験がある。しかし、新しい作品の製作費を集めるためには、スポンサーを探す必要があり課題だと感じていた。web3では、非中央集権的な形で、多くの人に少額からでも出資してもらうことができる。こうした仕組みを通して、新たな作品が生まれるプロセスには大きな可能性を感じる」
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