毎年11月下旬に小売店やEC(電子商取引)サイトが開催するセール「ブラックフライデー」。米国発祥だが、ここ数年で日本でもすっかり定着した感がある。一方、ほぼ同じ時期に始まった、月末最後の金曜日を豊かに過ごそうと呼びかける「プレミアムフライデー」は鳴かず飛ばずだ。何が明暗を分けたのか。復活の道はないのか?

すっかり定着した「ブラックフライデー」に対し、「プレミアムフライデー」は忘れ去られた存在に
すっかり定着した「ブラックフライデー」に対し、「プレミアムフライデー」は忘れ去られた存在に(画像左/Shutterstock、画像右/プレミアムフライデー推進協議会のプレスリリースから)

 2022年11月25日の金曜日から週末にかけて、米国の店舗やECサイトでは年末のビッグセール「ブラックフライデー」が繰り広げられた。11月第4木曜日の祝日「感謝祭(サンクスギビング)」翌日の金曜日、小売店などで大規模な安売りが実施されるのが恒例だ。クリスマスに向けた年末商戦の幕開けと位置づけられる。

 深刻なインフレによる物価高が家計を圧迫している米国で、セールの売れ行きが注目された22年のブラックフライデー。小売業を調査・分析する米センサーマティック・ソリューションズの調査によると、11月25日に店舗を訪れた客数は前年比2.9%増。また、米アドビ・アナリティクスによると、25日の米国オンライン消費額は前年比2.3%増で、過去最高の91億2000万ドルに上ったと試算している。物足りなさはあるが、消費の底堅さを示したとも言える。

 このブラックフライデー。日本でも近年すっかり定着している。日本で最初にブラックフライデーセールを大々的に展開したのはイオンだ。16年11月25~27日、イオングループ全国2万超の店舗で「イオンのブラックフライデーセール」を実施したのが始まり。22年も11月18~27日に「イオン ブラックフライデーセール」を実施した。ちなみにイオンは16年、米国で感謝祭の次の月曜日から始まるオンラインセール「サイバーマンデー」にも対応し、11月25~30日にイオンのECサイト「イオンドットコム」で「イオンのサイバーウィーク」も開催した。

イオンは2016年11月に「ブラックフライデー」と「サイバーウィーク」セールを実施
イオンは2016年11月に「ブラックフライデー」と「サイバーウィーク」セールを実施
出所:16年10月25日のイオンのプレスリリース

 LINEが22年11月16~17日に、LINEリサーチでブラックフライデーの認知度や買い物経験を調査したところ、認知度は90.4%(男性87.0%、女性93.9%)。利用経験者も31.2%と3割を超えていた(有効回収数1054人、全国15~69歳の男女、性年代構成比に合わせて回収)。

Googleトレンドで調べた「ブラックフライデー」の検索ボリューム推移
Googleトレンドで調べた「ブラックフライデー」の検索ボリューム推移

 検索語の検索規模や推移を可視化する「Googleトレンド」でも、ブラックフライデーはイオンが開始した16年に最初の山ができて以降、毎年検索が伸び、22年の検索規模が最大になったようだ(上図)。6年ですっかり定着したと言っていいだろう。

 楽天市場は17年からブラックフライデーセールを展開。22年も11月22日から「ブラックフライデー2022」を開催した。ロボット掃除機「ルンバ」など注目商品を特価販売したほか、1000円以上の買い物をした店舗数に応じて還元率を上乗せする「ショップ買いまわり」キャンペーンを実施した。

 Amazon.co.jpのブラックフライデーは19年からスタート。22年は、11月25日から12月1日までの7日間、「Amazon ブラックフライデー 2022」を開催。第2類医薬品の鼻炎薬「アレジオン20」48錠)」を通常価格(直近90日の販売価格の中央値)の半値以下で販売するなど、日ごろ割引セールをあまり見かけない商品群でも、大幅値引き品の目印である赤札表示が目立った。

 実店舗では、ファーストリテイリングが創業60周年を迎えた09年11月に記念キャンペーンを実施して以降、この時期に感謝祭を開くのが定番になっている。22年も11月18~28日に「ユニクロ感謝祭」、同11~24日に「GU感謝祭」を実施し、ユニクロ・GU版ブラックフライデーとなっている。

 短期間ですっかり定着したブラックフライデーに対し、同じ金曜日でありながら浸透していないワードがある。ほぼ同時期に始まった「プレミアムフライデー」だ。月末最終金曜日の退社時間を通常よりも早めて、買い物や家族との外食などに充ててもらおうと、16年12月に経済産業省、日本百貨店協会、日本旅行業協会などが「プレミアムフライデー推進協議会」を設立。働き方改革と消費活性化の二兎(にと)を狙った「国策」で、17年2月24日にスタートしたものだ。

Googleトレンドで調べた「プレミアムフライデー」の検索ボリューム推移
Googleトレンドで調べた「プレミアムフライデー」の検索ボリューム推移

 初回こそ話題を集め、小売業や外食各社が仕事を早上がりするビジネスパーソンを取り込もうとセールを打ち出したが、翌月以降は盛り上がりが鳴りを潜めてしまった(上図)。今やすっかり忘れ去られ、“死語”扱いである。

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