日本コカ・コーラ(東京・渋谷)は2022年11月16日、公式アプリ「Coke ON(コークオン)」にウォレット機能「Coke ON Wallet(コークオン・ウォレット)」を追加、独自のプリペイド型電子マネー「Coke ON マネー」の運用を開始した。狙いは同社自販機利用者のLTV(顧客生涯価値)強化だ。

Coke ON Payに対応した自販機なら、スマートフォンがあれば現金がなくても商品を購入できる
Coke ON Payに対応した自販機なら、スマートフォンがあれば現金がなくても商品を購入できる

 日本コカ・コーラの「Coke ON」は、ダウンロード数が4000万を超える(2022年11月時点)公式アプリ。Coke ON対応の自動販売機でドリンクを購入したり、1週間の目標歩数を達成したりするとスタンプがもらえ、スタンプを15個ためると対応自販機のドリンクと交換できるドリンクチケットが1枚もらえる。また1日2本、毎月31本まで好きなドリンクが飲める月額制サービス「Coke ON Pass(コークオン・パス)」、各種コード決済およびクレジットカードと連携したキャッシュレス決済「Coke ON Pay(コークオン・ペイ)」といった機能も搭載する。

 新たに追加されたウォレット機能「Coke ON Wallet」は、日本コカ・コーラの独自のプリペイド型電子マネー「Coke ON マネー」と、1ポイント1円として商品購入に充当できるポイントサービス「Coke ON ポイント」を管理するもので、Coke ON Payの決済手段の一つとして選択できる。支払いに必要な残高は、事前に登録した銀行口座から200円以上を1円単位で指定してCoke ON Walletにチャージする仕組みだ。

 Coke ON Walletが利用できるCoke ON Pay対応自動販売機の数は22年11月時点で約42万台となっており、日本コカ・コーラでは老朽化した自販機の交換などのタイミングでCoke ON Pay対応自販機を増やしていくという。

 複数の決済手段が選択できるなか、Coke ON Walletを選択してもらう鍵を握るのがポイント還元だろう。還元率0.5~1.0%程度の電子決済は多いが、Coke ON Walletの場合、1000円以上をチャージするとチャージ額の5%がCoke ON ポイントとして還元される。この還元率の高さがCoke ON Wallet普及の決め手になるかもしれない。

 日本コカ・コーラでは「Coke ON Walletスタート記念 チャージキャンペーン」として、23年3月31日までの期間中(早期終了の場合あり)、チャージ時の還元率を10%にすることで利用者増を図る。

Coke ON Walletに1000円以上をチャージすると、チャージ額の10%がCoke ON ポイントとして還元されるキャンペーンを展開
Coke ON Walletに1000円以上をチャージすると、チャージ額の10%がCoke ON ポイントとして還元されるキャンペーンを展開

 また日本コカ・コーラによれば、23年中をめどに同社の自販機を現金で利用した際の釣り銭をCoke ON マネーとしてCoke ON Walletにチャージする機能や、自販機に小銭を投入してCoke ON マネーをチャージする機能を搭載する計画もあるとのこと。一度チャージしたCoke ON マネーを再び現金に戻すことはできないが、Coke ON Pay対応自販機を使う機会の多い利用者には便利な機能といえる。

 JR東日本のICカード「Suica(スイカ)」や「楽天Edy(エディ)」といった電子マネー用としては「Coke ON IC」があるが、日本コカ・コーラがあえて独自の電子マネーを追加したのは、自社の自販機を積極的に利用してもらうための“LTV戦略”とみることもできそうだ。

2023年には釣り銭などの小銭をCoke ON マネーとしてチャージできるようになる予定
2023年には釣り銭などの小銭をCoke ON マネーとしてチャージできるようになる予定

(写真提供/日本コカ・コーラ)

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