公益財団法人日本デザイン振興会(東京・港)は2022年11月1日、「2022年度グッドデザイン大賞」を発表した。大賞に輝いたのは、アトリエe.f.t(大阪市、奈良県生駒市)、合同会社オフィスキャンプ(奈良県東吉野村)、一般社団法人無限(奈良県生駒市)が運営する「まほうのだがしやチロル堂」による、地域で子供たちの成長を支える活動だった。

●グッドデザイン大賞
「まほうのだがしやチロル堂」の店内。入り口にある「ガチャガチャ」は1回100円。カプセルの中にはチロル札が1~3枚入っていて、運が良ければ100円以上の買い物ができる。奥は飲食カウンター。昼は子供が集まり、夜は大人が「支援金寄付のため」にお酒を飲んだり食事をしたりする
「まほうのだがしやチロル堂」の店内。入り口にある「ガチャガチャ」は1回100円。カプセルの中にはチロル札が1~3枚入っていて、運が良ければ100円以上の買い物ができる。奥は飲食カウンター。昼は子供が集まり、夜は大人が「支援金寄付のため」にお酒を飲んだり食事をしたりする

 大賞は「グッドデザイン金賞」受賞者でもある大賞候補(ファイナリスト)5件から選出した。2022年10月7~31日まで実施された「2022年度グッドデザイン賞受賞展」の来場者による投票や、ファイナリストによるプレゼンテーションから国内外のデザイナーや建築家、専門家など各分野の一線で活躍する97人の審査員、グッドデザイン賞受賞者などの投票で決まった。

授賞式の様子。左から2022年度グッドデザイン賞審査委員長の安次富隆氏、大賞を受賞した一般社団法人無限代表理事の石田慶子氏、アトリエe.f.t. 代表の吉田田タカシ氏、合同会社オフィスキャンプ代表の坂本大祐氏、同審査副委員長の齋藤 精一氏(写真提供/日本デザイン振興会)
授賞式の様子。左から2022年度グッドデザイン賞審査委員長の安次富隆氏、大賞を受賞した一般社団法人無限代表理事の石田慶子氏、アトリエe.f.t. 代表の吉田田タカシ氏、合同会社オフィスキャンプ代表の坂本大祐氏、同審査副委員長の齋藤 精一氏(写真提供/日本デザイン振興会)

子供も大人も集まる魔法の場

 チロル堂は、貧困や孤独といった環境にある子供たちを、地域で支えることを狙った駄菓子屋。入り口に置かれた「ガチャガチャ」と呼ぶカプセル自動販売機を使い、子供専用の店内通貨「チロル札」で金額以上の買い物ができる。通貨の価値を変える「魔法」が仕掛けられており、訪れる大人が寄付しながら買い物や飲食をすることで、「魔法」を支える仕組みだ。アトリエe.f.t. 代表の吉田田タカシ(よしだだ たかし)氏が発案し、21年8月に奈良県生駒市でスタート。22年8月には金沢市に2号店がオープンした。

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