「日本パッケージデザイン大賞2023」の大賞作品、資生堂「BAUM(バウム)」のクリエイティブディレター信藤洋二氏と、プロダクトデザイナーの熊野亘氏に、パッケージデザインの開発プロセスや、これからのパッケージの在り方について聞いた。

――今回、化粧品部門ではなく、VI・BI(ビジュアルアイデンティティー、ブランドアイデンティティー)部門で応募しました。その理由を教えてください。

信藤洋二氏(以下、信藤) バウムは、90%以上を自然由来の素材から作るスキンケアブランドとして、2020年5月に誕生しました。自然の恩恵を受け取るだけでなく、自然に返していくサステナブルな活動を軸としたブランドです。パッケージの特徴は、愛着を持って長く使い続けてもらえるように、カリモク家具(愛知県東浦町)の製造工程で発生する端材を使っていること。木製パーツは一つひとつ色合いが微妙に異なり、経年変化も楽しめます。そんな端材の特徴をポジティブに生かすことができるのは、多様性を認める時代性も影響していると思います。ショッピングバッグの代わりに布製のエコバッグを購入いただくという、ハードルの高い挑戦も発売当初から継続しています。こうしたサステナブルな取り組みを軸としたブランディングがバウムの独自性であることから、VI・BI部門で応募しました。

信藤 洋二 氏
資生堂クリエイティブ クリエイティブディレクター
1992年東京藝術大学デザイン科修士課程修了、同年資生堂入社。2022年より現職。現在、東京大学先端技術研究所の先端アートデザイン分野アドバイザーとして、アートとサイエンスの融合によるイノベーション研究を推進中

家具メーカーと資生堂の出合い

――熊野さんは、どのタイミングからプロジェクトに参加されたのですか。

熊野亘氏(以下、熊野) 最初は、外部の有識者としてプロジェクトに参加し、化粧品のパッケージに木を使用する場合、必要な技術や知識のほか、日本や輸入品の樹種のことなどを説明しました。カリモク家具に協力してもらおうと考えたのは、資生堂がパッケージに求める精度が非常に高いことや、プロジェクトの規模感が分かってきてからです。例えば、1ミリメートルではなく、0.1ミリメートル単位で精度をキープしつつ、量産できるかどうか。日本で最も大きな家具メーカーであるカリモク家具であれば、それが可能かもしれないと思いました。

熊野 亘 氏
kumano プロダクトデザイナー
フィンランドへ留学。帰国後Jasper Morrison氏に師事。2011年にデザインオフィス“kumano”を設立し、環境、機能性、地域性など、背景のあるデザインをテーマにカリモク家具や天童木工、NIKARIなどの国内外のメーカーとプロジェクトを手掛ける
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