GUが銀座に2店舗目となる旗艦店をオープン。ファストファッションブランドとしてのイメージが強いGUだが、新店舗では店舗体験に注力する。接客に特化した「おしゃリスタ」が着こなし方の提案したり、パーソナルカラーや骨格を基に似合うコーディネートを見繕ったりと、来店時の満足度を高める施策を手厚く行う。新型コロナウイルス禍が続く中で、店舗施策に注力する狙いを聞いた。

2022年10月21日にオープンした「ジーユー マロニエゲート銀座店」。GU社長の柚木治氏(写真中央)と、店舗スタッフ(写真両サイド)
2022年10月21日にオープンした「ジーユー マロニエゲート銀座店」。GU社長の柚木治氏(写真中央)と、店舗スタッフ(写真両サイド)

 GUが2022年10月21日、銀座で2店舗目となる旗艦店「ジーユー マロニエゲート銀座店(以下、マロニエゲート銀座店)」をオープンした。1~4階にUNIQLO TOKYO(ユニクロ トウキョウ)が入居する「マロニエゲート銀座2」の5階に、約430坪の大型店を構えた。

 マロニエゲート銀座店は、ウィメンズ、メンズ、キッズ、ベビー服などのアイテムを全方位に取りそろえながら、銀座という土地柄も反映させた。ビジネス街ゆえに、オフィスカジュアルのアイテムを充実させ、シューズ類もパンプスやEC限定の特別サイズを含むラインアップを展開。訪日外国人が多い立地ということもあり、パスポートを提示すると、アプリ会員と同等価格で商品を購入できる割引サービスを実施している。

オフィス街であることからも、シューズはオンラインでしか取り扱っていないサイズも含むフルラインアップで展開
オフィス街であることからも、シューズはオンラインでしか取り扱っていないサイズも含むフルラインアップで展開

 店内を回遊していると、カラーバリエーション豊富な陳列棚や、通常の大型店の2倍近い体数のマネキンが目立つ。商品数が多いからこそ、着こなしの提案も積極的に行っていき、来店客の満足度を高める狙いだ。

店内にあるマネキンは100体ほど。ユニセックスがファッションのトレンドであることからも、男女を模したマネキンが2体並ぶ光景も見られた
店内にあるマネキンは100体ほど。ユニセックスがファッションのトレンドであることからも、男女を模したマネキンが2体並ぶ光景も見られた

 「マネキンや店内のディスプレーを増やして、アイテムの着こなし方を幅広く発信。同じアイテムでも、『かわいめ』『きれいめ』『スポーティー』といったように、見せ方を変えた着回し方を提案する。そうすることで、顧客からしたら、わくわくして買い物ができるうえに、どのように着用するかの選択肢も増えるのでコスパが高まる。靴やマフラー、ハットなどの小物類も、売り場にまとめて陳列するだけでなく、店内の至るところに設置したディスプレーで商品を披露することにより、コーディネートの選択肢が増えるようにする」

 そう語るのはGU社長の柚木治(ゆのき・おさむ)氏だ。一等地として高級なイメージの強い銀座だが、昨今ではダイソーや3COINSなど、低価格な商品を扱う店舗も増えてきている。価格競争が激しくなる立地だからこそ、GUは実店舗ならではの体験価値を通して、リーズナブルなイメージに加え、商品説明の手厚さやコスパの良さも打ち出していく。

 店舗での体験価値を高めるため、マロニエゲート銀座店では、販売員約130人のうち、「おしゃリスタ」と呼ばれる接客特化型のスタッフを約60人ほど配置した。おしゃリスタは、いわばコンシェルジュのように、商品に合わせたコーディネートや、一人一人に合わせた着こなし方を提案してくれる。社内の特別な資格を所有したスタッフが、顧客につきっきりで時間を割いてくれる。

 マロニエゲート銀座店では、おしゃリスタたちのプロフィル情報を店内で紹介し、顧客が事前に好みのおしゃリスタを選べるようにした。予約制なので、店内で顧客から声かけをしなくて済むのも気が利いている。

それぞれの「おしゃリスタ」のプロフィル情報が、店内の柱部分に紹介されている
それぞれの「おしゃリスタ」のプロフィル情報が、店内の柱部分に紹介されている

低価格ブランドだからこそ高まるサービス満足度

 加えて、22年11月6日までの期間限定で、パーソナルカラーや骨格を基に、おすすめの服をセレクトしてくれるサービスも無償で提供する。

 「これまでも顧客から、『自分に合うファッションを知りたい』『お買い物に失敗したくない』といった声がたくさんあった。GUのような低価格帯のブランドが、ファッションを無料で提案するサービスを提供することで、顧客の満足度はさらに高まる」と柚木氏。GUはセルフかつ自由に、クイックに買い物できるイメージが強い。気軽に買い物できるブランドとしてのベースは変えず、あくまでも選択肢の1つとしてサービスレベルを上げていくことで、店舗運営の最良の形を模索していく方針だ。

パーソナルカラー、骨格を基に、ユーザーのタイプを分類。カラーでは「イエベ」「ブルベ」など、骨格では「ウェーブ」「ナチュラル」など、いくつかパターンを分類し、それに合わせて適した商品を見繕ってくれる
パーソナルカラー、骨格を基に、一人一人のタイプを分類。カラーでは「イエベ」「ブルベ」など、骨格では「ウェーブ」「ナチュラル」など、いくつかパターンを分類し、それに合わせて適した商品を見繕ってくれる

 実際にこれまでのデータでは、おしゃリスタが接客することで、購入単価や購入点数は確実に上がっているそうだ。またおしゃリスタの導入は、店舗だけでなく、オンラインストアの実績にもつながっている。

 「最近の顧客は、店舗とオンラインストアやアプリを並行して利用している傾向にある。おしゃリスタからもアプリの使い方を解説したり、サイズや質感が把握できないオンラインの商品の説明をしたりと、手厚くサポートしている」と柚木氏。

 欲しかった商品がお店になかった場合、顧客からしたらサイズ感や質感が分からないと、即座にオンラインサイトやアプリから購入するのはためらうケースもある。ただ、おしゃリスタが商品の概要や着こなしを提案することで、オンラインストアやアプリでの購入に誘導が可能だ。

 また、GUの公式アプリから商品を注文した場合、最短1時間で、店舗で商品が受け取れるのもポイントだ。GUではO2O(オンライン・ツー・オフライン)施策として、アプリで購入した商品を店舗で受け取るサービス「ORDER & PICK(オーダー・アンド・ピック)」を今期から強化。購入から受け取りまでの時間を2時間から1時間に短縮した。店舗とアプリを併用し、効率よく買い物をしたいという顧客のニーズに応え、小回りが利く形でアップデートすることで、より店舗とオンラインの回遊も密になる。

 こうした背景には、「新型コロナウイルス禍の影響で、オンラインショッピングが一気に普及し、顧客とブランドの距離が近くなった。一方、ファッションの本質とは、実際に商品を身にまとい、新しい自分に出会うという体験である。今、街に人が戻りつつあるウィズコロナの中で、こうしたリアルでの重要さが求められている。GUでは、今の顧客ニーズに最も合った、最先端の店をオープンしよう考えた」と柚木氏。

 22年9月に行われた事業戦略発表会では、「戦略的大量出店と都市部の出店加速」を掲げているGU。ウィズコロナ時代になっても実店舗へのニーズは高く、変化を続ける消費者の購買行動に対応できるサービスを提供するため、22年秋冬には新規出店の12店舗を含む25店舗をオープンすると公表している(マロニエゲート銀座店を含む)。都心ターミナル駅や住宅街のロードサイドへの出店も積極的に行い、店舗網拡大を進めていく方針。最終的には同じファーストリテイリング傘下のユニクロと、同程度の規模を目指していく予定だ。

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