ベンチャー企業のSORENA(ソレナ、長野市)や長野県飯綱町、共和レザー(静岡県浜松市)の3者は、りんごジュースやシードル(りんご酒)づくりの過程で生じた、りんごの搾りかすを粉末にして原料にする合成皮革「りんごレザー」を開発。トートバッグなどの商品に仕立てて2022年冬にも発売する。ビーガンレザーの1つとして海外でもりんごによるレザーが製品化され、注目を集めている。日本で製造・販売するケースは今回が初めて。
SORENAは「りんごレザー」を開発するため、2021年4月に設立された。長野県飯綱町や長野県工業技術総合センター材料部門、工業技術総合センター食品部門、信州大学繊維学部などが協力し、県内の粉砕加工業者とも連携しながら、りんごの搾りかすを粉末化。実用化にめどが立ち、22年6月にはSORENAと飯綱町、共和レザーで「りんごレザー共同開発契約」を締結した。飯綱町がりんごの粉末製造の部分を担当し、共和レザーが生地を製造して、SORENAが商品企画と販売(小売りや卸売り)を手がける。
300キロから100個のバッグに
飯綱町は日本有数のりんご産地で、りんごの付加価値を上げるためにシードルの開発を進めており、加工施設も備えている。製造過程で生じるりんごの搾りかすは、主に堆肥や家畜飼料などに利用している。これをさらに有効活用すれば、新たな産業を創出するチャンスになると飯綱町は判断。りんごレザーに大きな期待を寄せている。試算では1200キログラムのりんごをシードルにする過程で、約300キログラムの搾りかすが残り、トートバッグ100個分に相当するという。
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