「FUJI ROCK FESTIVAL '22」(フジロックフェスティバル)や「SUMMER SONIC 2022」(サマーソニック)などの音楽フェスティバル(以下、フェス)が開催された2022年は、新型コロナウイルス禍で主要音楽フェスが復活した。コロナ禍を経て音楽フェスビジネスはどう変化していくのか。ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、現在は江戸川大学で音楽興行ビジネスを研究する関根直樹教授が分析する。

22年4月に米国で開催されたコーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル。宇多田ヒカルらの出演でも話題になった(写真提供/GO-COACHELLAツアー)
22年4月に米国で開催されたコーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル。宇多田ヒカルらの出演でも話題になった(写真提供/GO-COACHELLAツアー)

 新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年から停止を余儀なくされた音楽フェス。感染ピークの波がやってくるたびに音楽フェスは中止されてきたが、主催者であるコンサートプロモーターは過去のダイジェスト映像や無観客ライブの配信など、あらゆる対策を講じてしのいできた。その音楽フェスが22年になり、ようやく元気を取り戻している。今夏は、主要な音楽フェスが3年ぶりに開催されたのだ。22年は、さまざまな思いを込めて「ウィズコロナ音楽フェス元年」と呼びたい。

 歴史あるフェスもスタートして間もないフェスも、3年間のブランクを経ていったんリセットされた22年。コンサートプロモーターにとっては悲願の3年ぶりであるし、フェス参加者にとっては久々の至福体験だろう。ただ、3年前と今年では依然として違いがある。それはあくまでも“ウィズコロナ”でのフェスということ。

 音楽フェスが活気づく7~8月にかけては第7波が日本を襲い、1日あたりの全国の感染者数が30万人に届きそうな勢いであった。

 オミクロン型が高齢者や基礎疾患症状のある人以外は重症化リスクが低いこと、そして経済を優先すべきだという政治判断。この2つを背景に政府が行動制限措置を取らないと発表、音楽フェスは予定通り全国各地で行われることになった。ただし、どのフェスでも感染対策として消毒と検温のほかに「マスク着用」と「声出し禁止」を徹底していた。

 米国では22年4月にカリフォルニア州で野外音楽フェスの「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(以下、コーチェラ)」が、同7月には米イリノイ州のシカゴでロックフェスの「ロラパルーザ」がそれぞれ行われた。写真を見ると一目瞭然だが、マスク着用者は皆無だ。22年のコーチェラは接種証明や陰性証明の提示が義務付けられなくなったようだが、それにしても“マスクなし”は日本では見慣れない光景だ。

「コーチェラ」の様子。マスク着用者はほぼいない (写真提供/GO-COACHELLAツアー)
「コーチェラ」の様子。マスク着用者はほぼいない (写真提供/GO-COACHELLAツアー)
22年4月に米カリフォルニア州で開催された野外音楽フェス「コーチェラ」の公式サイト
22年4月に米カリフォルニア州で開催された野外音楽フェス「コーチェラ」の公式サイト

 ウィズコロナ下の日本の音楽フェスは3年前とは違う。「マスク着用」「声出し禁止」もそうだが、音楽フェスに対する来場者の意識変化も起こったと感じている。私が考える“ビフォーコロナ”と“ウィズコロナ”でのフェスへの意識変化は以下に集約される。

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