日本航空(JAL)が、羽田空港第3ターミナル国際線出発ゲート内にある「JALファーストクラスラウンジ」で、ラウンジ専用モバイルアプリ「JAL Lounge+」を活用し、リアルタイムに生成したパーソナライズ動画を利用客向けに配信する実証実験を2022年6月8日から7月末日まで実施した。UX(ユーザー体験)の改善による利用客の満足度向上が狙い。22年中には、同じくパーソナライズ動画を使った第2弾の取り組みを始める予定だ。
JALは、羽田空港第3ターミナル国際線出発ゲート内にある「JALファーストクラスラウンジ」をリニューアルオープンした2020年3月末以来、ほぼ同時期に始まった新型コロナウイルス感染症の拡大という流れを受け止めつつ、ファーストクラスラウンジの利用客の満足度向上に力を注いできた。
21年3月には、ラウンジ内にてビュッフェ形式で提供してきた飲食サービスに、座席からオンラインで注文してスタッフが料理を座席まで運ぶ「モバイルオーダーシステム」をWebブラウザー版で本格的に導入。同年11月には、このモバイルオーダーシステムを、ファーストクラスラウンジ専用アプリ「JAL Lounge+」(iOS対応)でも提供するように変更し、併せてラウンジに併設したシャワールームの予約サービスも開始した。コロナ禍に対応し、利用客同士や利用客とラウンジスタッフの接触頻度をできるだけ引き下げつつ、利用客のラウンジの使い勝手を引き上げようと考えた。
その際、JAL Lounge+を、アプリをダウンロードしなくてもアプリの一部の機能が使えるミニアプリ機能「App Clip」(iOSバージョン14以降の搭載機種のみ利用可能)にも対応させた。JAL Lounge+から注文または予約をした利用客は、メールアドレスなどの個人情報を登録しなくても、アプリの通知機能で連絡を受けられる。
IdomooとNRIデジタルのソリューションを活用
今回は、このJAL Lounge+に、リアルタイムに生成したパーソナライズ動画を、搭乗便ごとに利用客に配信する。具体的には、イスラエルに本社を置き、パーソナライズ動画の生成・編集・配信を手がけるIdomoo Ltd.(以下、Idomoo[アイドゥム])と、野村総合研究所(NRI)のグループ会社でデジタルビジネス全般を手がけるNRIデジタル(横浜市)のソリューションを活用した。
各利用客がJAL Lounge+に入力する搭乗便情報に基づき、NRIデジタルが開発中の「情報配信コントローラー」を使って搭乗便の出発時刻や搭乗ゲート、機内サービスなどの情報を既存の他システムから取得。それらの情報をIdomooのプラットフォームに渡して、パーソナライズしたアニメーション動画に組み込んで生成し、搭乗便を入力したJAL Lounge+アプリに配信して再生する。また、情報の配信時に「Sponsored by」という形で協力会社名などを告知配信する実験にも取り組んだ。
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