2019年に日本から完全撤退したFOREVER21が、23年春に再上陸する。コンセプトを「トレンド&ハイクオリティへの転換」と掲げ、28年までに売り上げ目標100億円を目指す。かつて外資系ファッションブランドとして一世を風靡したFOREVER21は、どう生まれ変わり、再建を狙うのか。
人気を呼ぶも2019年に日本から撤退
外資系ファストファッションブランドとして、ZARA(ザラ)、H&M(エイチ・アンド・エム)、GAP(ギャップ)などとならび、一時代を築いたFOREVER21(フォーエバートゥエンティーワン)は、復活できるのか――。
FOREVER21が23年4月、約3年半ぶりに日本で実店舗を構える。FOREVER21といえば、かつてロサンゼルス発の洋服や雑貨、シューズなどを数百円から提供し、日本でのファストファッションブームをけん引したブランドだ。リーズナブルな価格でトレンドのアイテムをいち早く取りそろえることで、当時のミレニアル世代(1980年から90年半ば生まれ)を魅了した。09年から、原宿の明治通り、松坂屋銀座店のグッチの跡地、新宿3丁目などの一等地に、大型店を次々に出店して話題を集めた。
しかし19年10月に、FOREVER21は14店舗を同時閉店し、日本から完全撤退した。フリマアプリやEC(電子商取引)の台頭、LAスタイルの廃れ、競合ブランドの登場など、第1号店の誕生から10年で、時代の価値観やトレンドの変化に適応できなくなったことが業績不振へとつながった。
日本から撤退したFOREVER21は、その後20年に米国のブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(以下ABG)に買収された。同社は、財務上の問題などで破綻したブランドの買収、再建を手がける。10年の設立以来、エディー バウアーやブルックスブラザーズなど50以上のブランドを買収し、復活に貢献してきた。
ABGが買収企業のリブランディングを成功させてきた要因として、各国のパートナー企業にオペレーションを委託していることが大きい。自社のデザインやビジネスモデルを踏襲させつつ、各国のパートナー企業にローカライズしたオリジナル商品を企画販売させることで、ユーザーの需要に沿った商品を提供するのがモットーだ。
ABGのビジネスモデルに乗っかり、FOREVE21も世界各地域のマーケットに合わせた商品展開を行った。組織やオペレーションを一新し、サステナビリティーや品質が重視される時代に合わせて、大量の生産、販売、廃棄といった過去のイメージを改善。結果、現在では世界主要国に570店舗以上を展開するブランドに生まれ変わった。
そして23年春、リブランディングしたFOREVER21が、再び日本へ進出する。ABGのケビン・サルター氏は「日本で高品質かつトレンド性の高い商品を展開することで、よりFOREVER21のイメージを高められる。ファッションの世界において、日本はインフルエンサーとしての強大な影響力を持つ。日本で成功することで、世界の他のマーケットにも成功体験を広げていくことができる」と、再上陸への思惑を語った。
日本でのパートナー企業として白羽の矢が立ったのは、ファッション専門チェーンのアダストリアだ。同社は「グローバルワーク」や「ニコアンド」をはじめ、30以上のブランドを管理。国内外に約1400店舗を展開している。
アダストリアは22年5月、FOREVER21の日本再上陸にあたり、ライセンス事業を専門的に行う子会社のゲートウィンを設立。FOREVER21のマスターライセンスを保有する伊藤忠商事と、ゲートウィン(アダストリア)がサブライセンス契約する形で国内展開を進めていく。
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